Information
new_01_red.gif①pixivBOOTHにて「fourteen years old 侵蝕恋愛 side storyⅠ」ダウンロード頒布開始いたしました。②pixivBOOTHにて「侵蝕恋愛Ⅴ 歴史の花冠」ダウンロード頒布開始いたしました。
③ご用のある方はこちらからどうぞ→mail_02_bla.gif

『千年相姦』二章 『クルルー様の冒険譚』 第八夜 ニゲル襲来(3)

160524_5.jpg

今までのクルルー像は実はニゲルだった。
衝撃の事実が明らかになった前回。
皆様お忘れかもしれませんが(管理人も忘れてた)、クルルーは養親レフィナの顔を見せてもらうべく「クルルー様の冒険譚」を語り聞かせていたのでした。同じベッドの中で。内容に満足したら見せてねって条件で。
語りが終わったので視点は現在に戻り、早速クルルーはレフィナに感想を求めているようですが果たしてその反応は……。
クルルーがなぜ執拗にレフィナの顔を見たがったのか、その謎も含めてお読みいただけますと幸いです。
二章「クルルー様の冒険譚」これにて閉幕です。
それでは、どうぞ。


【今回登場する登場人物】
クルルー(18歳)レフィナ(年齢不詳)


二章 『クルルー様の冒険譚』 第八夜 ニゲル襲来(3)


「……そうしてコロンを盗られて村にいられなくなった僕は、唯一無二の家族の元へ血相変えて帰ってきたってわけ。『クルルー様の冒険譚』は、これにて終幕」
 僕はレフィナの腕の下に潜り込んだ。声が屈もるのも構わずそのまま尋ねる。
「どうだった? レフィー」
「……迫真に富んだ『冒険譚』だったよ」
 レフィナのそういう声は、沈鬱なものだった。
 及第点に達していなかったのだろうか。不安になってしまった僕はレフィナの襤褸に包まれた顔を覗き見る。
「面白くなかった?」
「面白くなかったというわけではない」
 どうにも煮詰まらない態度だ。
 この場合、どちらを信用すればいいのだろうか。声音だけ聞く限り、とてもそう思っているようには思えない。
「今夜でもう、最後だよ。レフィナの要望通り、本にも勝る『夜伽話』こと『クルルー様の冒険譚』は話し終えたつもりだよ。……レフィナの顔を見せて」
「おまえの話次第だといっただろう」
「満足しなかったの?」
「そういうわけじゃない」
 やっぱりそうだ。
 レフィナは単に約束を遂行するつもりがないだけなのだ。
 最初からこうやってごまかすつもりだったに違いない。
「見せて」
 そう思うと俄然こちらも意地になってしまった。怒られるのを承知でレフィナの襤褸に手を掛けた。「見せてよ」「だめだ」「でも……」
 見せてよ、だめだ、という無意味な押し問答がしばらく続いた後、耐えきれなくなった僕は養親の身体に跨がり、半ば強引に顔を覆う襤褸を剥いだ。
「やめっ……」
「──」
 ──歳をまったく取っていない。
 七年前に出ていったときとまったく同じ、精彩を欠かない若い顔が、そこにあった。僕の思い過ごしじゃなかった。仔どもの目から見ても、この養親は異様に歳を取るのが遅いと思っていたのだ。
 レフィナが投げ遣りに顔を伏せる。
「……数多くの雌たちの姿を見てきた後とはわけが違う……、ほかの雌たちの顔には、こんなもの」
 レフィナは僕の沈黙を、自らの顔の中心に走る「疵」へのそれと解釈したようだった。
「違うよ、レフィー」
 記憶の中にある以上に、いや、記憶の中にあった以上に美しい姿が、そこにあった。
 金色の瞳と、水色の瞳、左右で色の違う、その希有な色の眼差し……。
 細い鼻筋、適度な厚みのある、プリムラの花より淡い、桃色の唇……。
 そうして何よりその中心にある。
「やっとこの疵に触れさせてもらえる……」
「……やめろクルルー」
「ごめん、聞けない……」
「……っ」
 レフィナが瞳をきつく閉じる。迫り来る現実から逃れるように。
 僕はレフィナの真上から、露わになったレフィナの「亀裂」に舌を運ばせた。
「っ……」
 ピクン、とレフィナの背中が仰け反る。
「痛む?」
「……ざらざらする」
 キトゥンの舌は無数の小さな突起がその表面にあるのだ。僕は苦笑した。「ざらざらするだけ?」
「クルルー、頼む、もう、やめ……」
 僕はなおも舌を這わせ続ける。
「幾晩待ったと思っているの。僕は約束を守ったよ。レフィナも約束は守らなきゃ」
「こんなことは約束に含まれていない」
「じゃあ解釈の違いだね、我慢するしかない……」
「……いい加減にしろ!」
 寝台から飛び起きるようにして養親が僕を撥ね除けた。僕は咄嗟にそれをよけ、振り仰がれた腕の隙間から養親を見遣った。
 ……本気で拒絶しているし、……本気で怒っている。
 少し、羽目を外しすぎたかもしれない。
 たしかにこれじゃ、約束違反だ。約束の中にこうした行為は含まれていなかった。
 僕はただ、レフィナの顔を見たい、といっただけだ。
 だけど、これでいい。
 天井の位置を見失ってはいけない。
 僕たちは親仔なのだから。
 僕たちはキトゥンとニンゲンなのだから。
 レフィナが寝乱れたようにも見える襤褸を直す。僕はその後ろ姿を寝台から眺めていることしかできない。
「……一度あることは二度ある、と『クルルー様の冒険譚』の中で、いつだったかいってたな」
 昨夜だったか、レフィナが背中を向けたまま独りごちた。
 ちゃんと聞いていたんだな、と思った。正直。
「歴史は繰り返す……」(※管理人注/この「歴史は繰り返す」、なんとなく頭の片隅に置いててもらえると嬉しいです。レフィナは何に対してそういったのか)
 レフィナが振り返った。疵の走ったその顔で僕を刺すように見つめながら。
「ニゲルはどこにいった」
「え」
 答えようとする前にレフィナが寝室の衝立に手を掛けた。「……ニゲルはおまえによく似ているな」
 レフィナの姿が衝立の向こうに吸い込まれていった。
 仕掛けたと思っていた罠は、実は真横に横たわっていたのだった。
 八夜もの間、ずっと。


どうやらレフィナにはクルルーのからくりもばればれだったみたいですね^^;
次の更新は4/15(土)を予定しております。

関連記事
2017-04-01 : 小説・「千年相姦」 :
Pagetop
« next  ホーム  prev »

プロフィール

20161112190101499.jpg 201611121901039c9.jpg 20161112190104bbd.jpg

Author:canaria

イラストと小説でオリジナルの世界観を表現しています。時々COMITIAに出たりもします。上の画像はたらこさんが描いて下さったものを無理やり強奪してきたものです。たらこさんいつもありがとうございます。初めましての方はこちらをどうぞ。

twitter.pngpixiv.pngtinami.png

PIYO

HP

Nymphe(ニンフェ)名義の本家HPです。ここを見て興味を持って頂けたらこちらも覗いて頂けると嬉しいです。

電子書籍

pixivBOOTHにて
無料ダウンロード頒布中。

92181778233ecfa0143b8e8a1ef4a33fbe9b-f.jpg
『侵蝕恋愛Ⅰ紅き瞳の双花』
この世に居場所のない二人は、互いに何を求め、何を互いに見出したのか。
160704_1.jpg
『侵蝕恋愛Ⅱ蜜月』
ケイは路地裏で出逢った両性具有の少女の「片割れの性」に溺れ込むーー。
『侵蝕恋愛Ⅲ孤児院日誌』
ファーンは明け方の海で亡き母に瓜二つの少女セイレンに出会うーー。
『侵蝕恋愛Ⅳ恋人たちの契約』
一冊の手記がケイを過去へとからめ取るーー。
hyoshi_7.jpg『侵蝕恋愛Ⅴ歴史の花冠』『太陽の家』でケイが見たものとは。

外部リンク



banner_s.png
poplsbn2.gif
banner.gif

ブログパーツ

ブログ開始から

webアンソロジー季刊誌「carat!」(※休刊中)

素敵な作品をありがとうございました。
20160320.jpgwebアンソロジー季刊誌「carat!」Vol.1 創刊号
20160524.jpgwebアンソロジー季刊誌「carat!」Vol.2 夏号
20160924_1.jpgwebアンソロジー季刊誌「carat!」Vol.3 秋号
20160924_2.jpgwebアンソロジー季刊誌「carat!」Vol.4 冬号

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム