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『千年相姦』二章 『クルルー様の冒険譚』 第八夜 ニゲル襲来(2)

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「コロンと交配した」
ニゲルの口から衝撃の事実を打ち明けられたクルルー。
そのことによってクルルーの世界は崩壊してしまったようです。
代わりに今回はニゲルが独白してくれているようです。
ん……? ニゲル?
皆さん薄々勘付いておられたかと思いますがニゲルこと「彼」の独白をお楽しみいただければと思います。
それでは、どうぞ。


【今回登場する登場人物】
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ニゲル?


二章 『クルルー様の冒険譚』 第八夜 ニゲル襲来(2)


 コロンの身体は、最高だったよ。
 少し、幼いんだね、彼女の身体は。淡い胸に、緩やかな腰、そう、あまり細くないんだ。これからもっと細くなるのかな。よくわかんないけど、そういう身体も魅力的だよね。
 コロンはさ、胸が淡いのに、胸の頂きを含まれるのが大好きなんだよね、あ、あんたなら知ってるよね、それともあんたがそんなふうに手懐けたのかな、うわっ、気持ち悪ぃ、けどコロンに罪はないか、コロンごめん、って、ここにはいないか。
 はははっ。
 コロンってさ、好奇心旺盛で、交配を始める前からなんとなく予想はつく感じだったんだけど、その好奇心の多さが災いしたのかな、どんどんどんどん、のめりこんでいって。最後には、……これはいわないでおこうか。君には残酷すぎるだろうからね。
 来期の春ごろ、答えが出るんじゃないかな。
 コロン自身の頑張り次第でさ、なんて。(※管理人注/コロンが「ニゲル」の仔どもを身籠っていることを暗に示唆している)
 ははっ。
 話を戻そうか。
 あんまり敏感なものだから、何度も何度も胸の突起を啄んでやった。そうするとコロンはかわいい声を出すね。甘ったるいさ。何度も何度も「……ルー、……ルー」って、僕の名前を呼ぶんだ。
 ……正直、愛しい、と思ったよ。そんなに誰かに求められたことはなかったから。
 僕の親、……ああ、『君と一緒で』僕も『養親』に育てられたんだけどね、ほら、君はサリーのパパとかママを一度も見たことがないだろう? (※管理人注/本物のニゲルとサリーは兄妹)それにはそういった理由があったっていうわけ。……うん、きっとそう。なんだろう、よくわかんないな、とにかくそういうものだって納得してよ。
 で、あんまり僕を求めてやまないから、僕も本当に彼女のことが好きになってしまったんだ。……チコとはまた違う意味でさ。見ただろう、あの短い黒髪の、雌キトゥンのこと。彼女のことは、自分と似た境遇に共鳴を覚えたって感じ。コロンは……、正直、憎しみすらあったよ。あまりにもてるもの特有の思考回路を振りかざしていたからね。彼女は、僕に。
 だから「僕の側」に引きずり込んででやりたいと思ったのかもしれない。おまえの幸福はそうであるから「そう」であるだけなのであって、本質じゃない、ってね。見方を変えればこういうこともあるんだよって、そういうことを教えてあげたつもりなんだ。
 チコのことを話すことによって。
 ……身体に刻み込むことによって。
 ……チコのことだけどさ、僕、この前彼女のこと『過ち』っていったよね。それは、チコ自身が自分のことをそういっていたからなんだ。自分の存在を『過ち』だって……。じゃあ、何が『正しい』なのかって、反対に訊き返してやったよ。そうしたら彼女、なんていったと思う。
 コロンとコロネが正しいって。
 そうしてこうもいっていた。
 コロンのお母さんに申し訳ないって。(※管理人注/チコはパパの隠し子)
 彼女、左腕に包帯巻いてたでしょ、え、気付かなかった?まあとにかく今度見てみてよ、って、「今度」があったらの話なんだけどさ。

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 だから彼女、自分の存在が申し訳なくて、そう思うたびに「じしょうこうい」をしていたみたいなんだ。
「じしょうこうい」の意味はわかる?
 自傷行為。
 自分で自分を傷つける……、おおよそ、キトゥンの本能とは真逆をいくような行為だ。
 けれど彼女はそうすることによって、キトゥンである自分自身を越えたところへ行こうと思っていたんだ。
 キトゥンらしい幸せの在り方を自ら放棄することによって、コロンとコロネ、そうしてコロンのお母さんに贖罪してるつもりなんだ。……これは僕の推測。チコはそんなこと、いわない。彼女、ああしていて、押し付けがましさとは無縁のキトゥンだから。あんたのかりそめのママみたく、毎日毎日これみよがしにごってごてした料理をこさえるばかりが脳の雌に比べると、なんとも控えめな生き方だと思わない?
 ……けど、さ、そこにはもう一つ裏があるんだ。
 つまりチコは、そうすることによって、コロン姉妹とママを攻撃していたってわけ。
 あの傷つけられた腕は、彼女にとって自分の外部に広がる世界の象徴でもあるんだね……、彼女は、世界を憎んでいる。
 ……僕にはよくわかる。
 僕も、……そうだから。
 えっ? チコのことになると、妙に冗長になるねって? うるさいな。そりゃ、迷い込んできた僕を招き入れてくれた存在じゃないか、それはまあ、それなりに、情めいたものは、ね……。
 え? 恋?
 ……違うよ。
 ……違う、と思う。
 だって、チコは……。
 ああ、あんたが変なこというから、何を話していたのか忘れてしまったじゃないか。そもそも僕は調子に乗ったあんたを諫めるために話をしていたっていうのに。これじゃまるで、反対に僕があんたに諫められてるみたいだ。
 それよりあんたさあ、さっきから一歩も動かないね。
 それ、なんで?
 演技にしても堂に入りすぎてない?
 え? それよりも話を続けてよって?
 うるさいな、なら、動けよ、喋ろよ。
 コロンとは幾度も交わったよ。何度も何度も何度も……。
 場所は、まあ、いろんなとこ。
 チコの目には触れないとこでやった。
 嫉妬? 違うよ、チコはさ、その辺りの感覚がぶっ壊れてるんだ。何しろ僕の目の前でほかの雄を自ら連れ込むような雌だからさ。まあ、そういうところも興奮するんだけどね。そう、そういうところも、僕、好きなんだ。
 背後から、横から、時には向かい合って、時間をかけてコロンを籠絡していったよ。
 コロン、もう、最近はわけがわからなくなっていたんじゃないかな。
 何が正しくて、何が間違っているのか。
 自分たちの幸福の陰で、泣いている存在がいるっていうことを、彼女は最も残酷な形で突き付けられてしまったんだ。……「チコ姉さん」のことを。
 けれど僕はこうもいった。君の罪じゃないよ、って。ましてやパパの罪でもないって。けれどコロンは、「チコさんは自分のことを『過ち』って思い込んでいるのでしょう? それ自体が罪なのよ……」
 僕はそれに対して反論することができなかった。
 どうしてだろう。
 コロンから天真爛漫なところが失われていけばいくほど、コロンの顔から笑顔が消えれば消えていくほど、僕はコロンのことが好きになっていった。コロンが涙を流せば流すほど、愛しくって堪らない気持ちになっていった。
 コロンが欠ければ欠けるほど、僕は満たされていったんだ……。
 きっと僕は、コロンの「破片」を、僕自身が抱えもつ「空洞」と同じ形にしたかったのかもしれないね。
 元々、あんたのためだけに用意されていた「破片」を、僕の側の「空洞の形」に引き寄せてしまったんだ。
 ……どこかに忘れてきた、あの人と同じ形に、……近づけたかったんだ、僕が、……僕自身が。
 え? それは誰って? あんたには関係ないだろ。それに僕だってもう覚えていない。
 もうずっと昔、……六年くらい前だから。
 六年。
 もう、六年。
 まだ、六年。
 どうかな。
 よく、わからない。
 いまだに、どうすればよかったのか。
 だけどもう最近は……。
 ここいらにいる雌たちの破片の形を、僕の空洞と同じ形に一々整形するのも疲れてしまった。
 ……ここいらっていうのは、もちろん、この村のことだよ。
 嫌だなあ、そんな、具体的に名前を挙げるわけにはいかないじゃないか。
 ええっとぉ、まずコロンでしょ、それから……って、口に出してるね。でもここから先は本当に秘密。
 この村は狭いから、さ。すぐに噂が広まってしまう。
 もう広まってるんじゃないかな。
 だけどここいらの雌たちは、ちょっといじると、すぐにぼろを出すね。その「破片の形」を。
 どんな形をしてるのか、それを自ら話してくるんだ。
 コロンは満たされすぎている自分に無意識に不満を抱いているようだった。
 自分の容姿に劣等意識をを抱くあまり、学問に逃避している雌もいた。
 自らの日常にうすらぼんやりとした違和感を抱いていた雌もいた。
 お姉さんと自分を重ね合わせて見ている雌もいた。
 えっ? それってコロンの妹のことじゃないのって? だからいったでしょ、具体的な名前はいわないって。いくら訊いても、それは彼女たちの名誉のためにも絶対に口を割く気はないよ。
 さすがに、この妹にはいえなかった。君のいう『お姉さん』はどっちのお姉さん、だなんて。彼女の世界をかき回すのは、さすがに、気が引けた。何しろ自分とお姉さんを重ね合わせて見ているような雌なんだ、そんな沈み込んだ雌が二匹も一挙に沸いたら、さすがにパパが勘付くでしょ、勘付かないか、あれは。悪いキトゥンじゃないんだけどね。彼はその外見に似つかわしくなく本当に朴訥で純粋なキトゥンだと思う。……どちらかというと君に近い。
 だから、ああいう種類のキトゥンは、たとえ雄としては優れていても、雌は慎重に選んだほうがいいのかもしれない。……自分自身が抱えきれなくなるから。
 そうしてこぼれた「余剰」が、ここのやたらうら寂しげな「チコの庭付きの家」ってわけ。
 かわいそうに、チコは今でも「パパ」の呪縛から逃れられない。
 僕が──の呪縛から逃れられないのと同様に……。
 さあクルル—。
 話はおしまいだ。
 君のせいで、なんだか余計なことまでいっぱい話してしまった気がする。
 君があんまり動かないからだ。
 君があんまり喋らないからだ。
 君には最初から、むかついていたんだ。
 唯一無二を目指して、一心不乱にコロンを愛していた君が、疎ましかったんだ。
 だから、僕の目の前から消えて欲しいんだ。
 家に帰りなよ。
 ……僕も、さすがにもう、ここにはいられないかもしれない。
 なぜって、君が動かないからだ。
 ……だけど、僕はどこに「還れば」いいんだろう。
 ……どこに。


【ちょっと解説】
おわかりいただけましたでしょうか。
実はこれまでの「クルルー像」は、クルルーが本物のニゲルから言伝に聞いた話を盛り込んで捏造した姿でした。(代わりに本物のニゲルに空きができるのでクルルーはそこに真の自分を当て嵌めて補完した)。二章の始めっからその体験ほとんどはニゲルのものだったんですね。 一部クルルーの体験や心理も盛り込まれてますが。なんでそうしたかというと、多分本当のことを話してレフィナに嫌われるのが嫌だったからでしょう。


170314_1.jpg 
本物のニゲルはこれ↑。
本物のニゲルはクルルーの手により崖から落とされてしまいました。
前回クルルーが樹木を挟んでニゲルを壁ドンしたんですがその衝撃で樹木ごとニゲルが落ちてしまったんですね。(なので前回ニゲルの世界も文字通り「崩壊」し、本物のクルルーの語りに完全に切り替わった。でもレフィナの手前、一応「ニゲル」語りという体裁を保っている。ややこい)
分かりづらいと思うのでご質問ございましたらどしどしお寄せください。
ニゲルの生死は。クルルーの本当の気持ちは。
様々な謎を孕みつつ次回「二章 クルルー様の冒険譚」は終幕を迎えます。

次の更新は4/1(土)を予定しております。

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