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『千年相姦』二章 『クルルー様の冒険譚』 第六夜 コロンのママ(3)

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「そうねえ……、そういうの、わたしにも覚えがあるかも」
何げない会話の流れからママの地雷を踏んでしまったクルルー。
前回、ちょっと分かり辛い展開で申し訳なかったです。
とりあえずクルルーの言葉から、ママが昔のパパの浮気事件を連想してしまったと、ざっくりそんな風に思っていただければ結構です(笑)
今回も、短い話の中に結構な伏線が散りばめられててややこいことになってます。今回そのたんびに注釈いれました。しつこくて面目ないです。
今回はとりあえずママの怖さですね。これもまた分かり辛いかと思うんですが、こんなこと考えながらご飯作ってたんか……と何となーくでいいので薄ら寒さを感じ取っていただけたら嬉しいです。
三回に渡ってお送りしてきたママの回ラスト。それでは、どうぞ。


【今回登場する登場人物】
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クルルー(17歳)コロンのママ


二章 『クルルー様の冒険譚』 第六夜 コロンのママ(3)


 それは僕の事情であったのにも拘らず、自分の事情が他者の中で「自分のこと」に変換されてしまうのはよくあることだ。僕が他者のちょっとした一言で被害妄想に陥ってしまうことがあるように。
 きっと、今、コロンのママも……。
「ふふ、けど、ね、クルルー、雄はね、美貌じゃない、身体じゃないのよ。胃袋に勝るものはないの。雄は胃袋でつかむものなのよ」
「……」
 そろそろとコロンのママの顔をうかがう。月がちょうどママの真上にあって、逆光でママの顔が見えない。〈千年森〉の闇とは違う種類の闇がそこには停留していた。純色じゃない薄墨色をした闇が。
 それがかえって恐ろしかった。
「だからコロンやコロネにも、わたし、料理だけはきちんと作れるようにしときなさいって、普段から示しているつもりなの、……態度で」
 コロンのママがその、コロンとよく似た色をした髪をかきあげる。
 あれ、コロンのママの髪って、こんなだったかな。月明かりのせいかな、やけにかさかさと乾いて見える。枯れた穂みたいに。
「……それは、二匹とも、わかっていると思います……」
「仔は親の背中を見て育つっていうしね」
「……、そ、そうですよ! コロンもコロネもとってもいい仔で、それでいて、その、……とっても魅力的な雌です!」
 いいきってから、途端に赤面してしまった。「……すみません」
「ふふ、謝ることなんてちっともないわ。さっきの話だけどね、美味しい料理さえあれば、家族は絶対にまとまるものなのよ。それはクルルー、あなた自身が一番よくわかっているはずよ」
 話しぶりも眼差しも、いつの日か僕がコロンに同情されたあの日の晩とまったく同じものだった。
 コロンの未来がここにいる……。
「……そうですっ、あんな、毎日緑の野菜に塩だけの料理なんてっ……、いい加減、飽き飽きしていたんだっ」
「そうよ、クルルー、あなたのその感覚は正しいわ」
 だけどあなたのお母様が間違っている、というわけではないのよ、とすかさず僕の養親を庇い立てすることも忘れない。そんなところがまた、コロンのママの優しさの一端であり、魅力的なとこなんだ。
 うん、そういうこと。
 そういうことなんだ。
「いい? だけどね、お母様のことを恨んだりしちゃだめ。お母様にはお母様の事情がおありになるのだから」
「はい、ママ、あの人にも事情があったんだと思います」
「ご自分のことをニンゲンだと思っていらっしゃるのでしょう?」
「はい」
 事実ですから、とはいわなかった。
「雌は殊の外神経が繊細なの。もし何か大事があったら、わたしに仰い、腕のいい薬師様を知っているから」(※管理人注/ママは、「ニンゲンを自称している」クルルーの養親レフィナのことを「気の触れた雌」と思ってる節がある。これは、この世界において「ニンゲン」という種族自体実は存在しないのではないか? ということを示唆するものである。ママは「自称ニンゲン」というのはレフィナの妄言だと断定してるのですね。実はレフィナもクルルーに対して噓を吐いていた? レフィナはニンゲンなどではない?
とりあえず、この世界において「ニンゲン」という種族自体、本当は存在しないのではないか? と頭の隅に置いてもらえれば嬉しいです。流れを重視していただければと。ややこしくてすみません)

「薬師、様?」
 この村に『腕のいい』薬師なんていただろうかと思ったのだった。
「そう、『神出鬼没の薬師』のこと。クルルーあなた、知らない? 時々ふらりと現れるのよ。ちょっとした生活用品を提供するだけで、とても良く効く薬草をこの村に置いていってくれるの」(※管理人注/実はこの『神出鬼没の薬師』とはレフィナのこと。レフィナはこの村に出没することで物々交換をし、クルルーを養っていた。別にそんな重要事項じゃないのですが、伏線として何となくそうなんだー、くらいに思っていただけたらと)
 そういえば最近は見かけないけど、もしあなたがどうしてもというなら、と、なおも細やかな気配りを示し続けるママに、僕は気が咎めるような物思いを覚える。
「今のところ、多分、平静を保っていると思いますので……」と、ママの負担を和らげたい一心でそう伝える。
 何年も会っていないくせに、よくいうよ、僕。
「たまには帰ってあげるのよ。あなたにとっては、わたしたちも、レフィナさんも家族なのだから」
「はーい」
「いい仔ね。さ、クルルー、身体をきれいにするわよ」
 けれど沐浴は順番よ、とカンジンな所で釘を刺されてしまった。「わたしにはパパがいるもの」
 雄は胃袋でつかむものなのよ、雄は胃袋でつかむものなのよ……。
 コロンのママが沐浴を行っている間、ずっとその文言が頭を回っていた。
 コロンのパパはコロンのママに胃袋をつかまれてしまって、一生離れられないのだ。
 それはなんて幸福なのろけ話なんだろうか!
 ……多分。


次週「チコ」という名の新しい雌の回に入ります。次の更新は12/8(木)を予定しております。
2016-12-01 : 小説・「千年相姦」 : コメント : 20 :
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「侵蝕恋愛」LINEスタンプリリースされました!

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webアンソロジー季刊誌「carat!」vol.4 冬号 参加作品

bunner_carat_20161204185204543.jpg「carat!」vol.4 冬号、管理人は「侵蝕恋愛」LINEスタンプリリースのお知らせです。

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ここまでご覧いただきありがとうございました。
2016-12-05 : web季刊誌「carat!」 : コメント : 16 :
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『千年相姦』二章 『クルルー様の冒険譚』 第七夜 チコ(1)

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新しい雌の回に入りました。
美しい黒キトゥン「チコ」の回、これから四回に渡ってお送りいたします。
といっても「チコ」が直接登場することはありません。周りの人物たちの語りによって彼女の存在が浮き彫りになる構造になっています。彼女が直接登場するのは次の「ニゲル襲来」の回に入ってからですね。それまで彼女の神秘のヴェールに包まれた姿をお楽しみください。
ひとまず今回はコロン一家団欒の回。
コロネの手ほどきを巡ってうっすら暗雲の立ち込めるコロンとクルルー、そして昔のパパの浮気疑惑。
小さな問題を孕みながらもこの家族はとりあえずの平穏を保っているようです。
そんな彼等と過ごしながらクルルーは何を思うのか。
それでは、どうぞ。


【今回登場する登場人物】
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クルルー(17歳)コロン(17〜8歳)コロネ(17〜8歳)
※一歳も違わない
コロンの妹


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コロンのパパコロンのママ


二章 『クルルー様の冒険譚』 第七夜 チコ(1)


 今日の畑作業も順調だった。このままの調子でいけば旬の時期に潤沢な量の野菜を出荷することが可能らしい。商いを生業にするキトゥンに頼んで市場に卸してもらう。後は町のキトゥンたちが買ってくれる。その金銭を糧にしてコロン一家は冬を越す。
 今は雨期。春が満ちて春が腐敗していく時期でもあり、腐敗しきった春が乾燥してからりとした夏へ向かっていく季節。
「クルルー、今日もお疲れ様」
 といって、額に汗をかいたパパが僕に労いの言葉をかけてくれる。
「今日の晩ご飯は何かなぁ」
「パパは本当にママとママのご飯が大好きなんですね」
「そりゃもう! 一日の糧、僕の心の栄養になってるよ」
 その笑顔は、一点の曇りもないものだった。雨期のどんよりした空模様なんて吹き飛ばしてしまうほどの。
「あ、そうだクルルー、僕はあと一仕事やらなきゃいけないことがあるから先に帰ってて」
「あ、例の出荷の件ですね」
「そう、大人の話が待ってるんだ」
 見ると、早くも周りには商いを生業にするキトゥンたちの姿がちらほら集まってきていた。
「ママによろしくね」
「はい、パパも頑張ってください。僕、ママのお手伝いしに先に帰ってます」
「コロンと、それからもひとつついでにコロネにもね」
 と、意味深な眼差しで片目を閉じられた。
「もう……」
 商談をするパパの様子を遠目で見遣りながら僕は帰途についた。
 僕はいまだ、コロネの「手ほどき」を成し遂げていないのだった。

※※※


「あ、パパ、お帰りなさい」
「お帰りあなた!!」
 ママが僕を選り分けるようにしてパパの胸に突進していく。
 こんなときのママはいつもイノシシみたいだ。それも、小さなイノシシ、うり坊みたいな。僕には絶対、あんなことはしない。僕はうっすらとパパに嫉妬する。
 つまりパパとママの関係はどこからどう見ても良好だということなのだった。
 二匹のことは二匹にしかわからない。二匹がそれで良しとしているのならそれでいいのだ。雨降って地固まる、という言葉があるけれど、パパとママはその典型だといえた。ちなみにこのいい回しはレフィナのもっている大量の本の中から見つけた。意味は、悪いことがあってもそれが転じて結果的に良き結果に着地すること、と解釈している。パパとママは、文字通り、年月を共に重ねることによって絆と信頼関係を固めていったのだ。
 羨ましい、と思った。
 僕とコロンなんて、まだ出会って数年しか経っていないっていうのに、早くも雨雲みたいなうっすらとした危機が訪れつつある。
 コロネの「手ほどき」を巡ってだ。(※管理人注/お忘れかもしれませんがこの問題はまだはびこっていてクルルーは未だコロネには一切触れていません。クルルー真面目……)
 このことに関しては、僕なりの「信念」を今度きっちり明示しなければ、と思っている。「ゆいいつむに」という概念をサリーから学んだことが大きく影響している。(※管理人注/四年前眼鏡っ子サリーに教えてもらった言葉のことですね。リンク先参照)
 それから、レフィーのこと。
 共に過ごした年月が絆や信頼関係に比例するのなら、なぜ僕たちはその法則に当てはまらないんだ? と思ったのだった。
 僕たちは半ば喧嘩別れのようにして袂を分かった。
 そう、僕は二度とあの人の元に戻るつもりはなかったのである。
 ちら、と姉妹を見遣る。
 姉妹は朗らかそうな様子で笑っていた。
 多少の問題はあるにせよ、ここには穏やかな日常が滞りなく流れている。
 僕の居場所はここだ。
 この一家と共に過ごすことこそが、僕の存在意義であり僕が生きる意味なのだ。


次の更新は12/15(木)を予定しております。

2016-12-08 : 小説・「千年相姦」 : コメント : 24 :
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『千年相姦』二章 『クルルー様の冒険譚』 第七夜 チコ(2)

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昔のパパの浮気疑惑やコロネの手ほどきなど、小さな問題を孕みながらもひとまずの平穏を享受しているクルルー。
そんなクルルーが今回は「生き方」や「強さ」について持論を展開しているようです。これは謎の雄キトゥン・ニゲルとの対比も込めてます。
そして実は次週ニゲル再登場するという^^; クルルーピンチっ!
コロンが「コロネの手ほどきに拘泥する理由」にも触れてます。そちらも併せて、クルルーの独白をお楽しみください。

【今回登場する登場人物】
クルルー(17歳)


二章 『クルルー様の冒険譚』 第六夜 チコ(2)


 多少の問題はあるにせよ、ここには穏やかな日常が滞りなく流れている。
 僕の居場所はここだ。
 この一家と共に過ごすことこそが、僕の存在意義であり僕が生きる意味なのだ。


※※※


 けれど平穏な日常というのは規則正しく運行しているからこそ平穏足り得ているのであって、裏を返せば規則正しく運行できなくなるような「不測の事態」が介入してくれば、いとも簡単に瓦解するということでもある。
 最初の「亀裂」を発見したのは、それは偶然だったのかそれとも必然だったのか。
「なんだこれ……」
 といいながらも、僕は既にわかっていた。
 それが「あいつ」の爪痕であることに。
 サリーの家の垣根にえぐいほどの亀裂を走らせている。(※管理人注/「あいつ」ことニゲルはサリーの兄という設定なので自分ちで爪研ぎをしてるってことですね)
 薄荷みたいな、鼻の奥につんとくる匂い、それでいて少し甘ったるさもある特徴的な匂いだ。雌が嗅いだらひとたまりもないような。
「ニゲル……」
 放浪の旅から帰ってきたのだろうか。「奴」が。サリーがいっていたじゃないか。「放浪癖がある」って。こうやって突如帰ってきて、帰ってきた証とばかりにこうやって誇示するのだろうか。自分の存在を。
 それからというもの、いろいろな所で「奴」の標を見かけるようになった。彼の生家である「お隣」を始めとして、コロン一家の近くに樹立する樹木の幹であったりとか、沐浴へ向かう途中の木立の中であったりとか、それから、パパの畑の敷地内に生えている樹木にその痕跡が走っていた、ということもあった。
 僕が本格的な危機意識をもったのはそのときだった。
 これは、あからさまな僕に対する「挑戦」だ……。
 そう思ったのだった。
 挑戦……、いや、あいつにとっては僕のような格下の雄なんて取るに足らない存在なのだろう。あいつにとっては気まぐれの一つであったり、もっというなら僕をからかっているだけなのかもしれない。
 けれどだからこそ、僕のような弱い雄にとってここ数日のこの一連の出来事は驚異として捉えられたのだった。
 コロンとの仲も最近微妙なものになっていた。みんなが寝静まった後の「交配」の時間は、今でも続いていたけれど、そのたびにコロンが「コロネの手ほどき」について蕩々と僕に説くのだ。
 あの姉妹はとても仲がいい。いや、姉妹という域を越えて、あの二匹は二匹で一匹であるといったようなところがある。姉の悦びは妹の悦びでもあり妹の痛みは姉の痛みでもあるのだ。
 だからコロンとしては、交配の悦びをコロネと分かち合いたい。
 そういう思いが根強くあるようなのだった。
 ほかの雄にはどうしてもコロネを渡したくないのだという。
 不幸なことには、僕がコロンのその価値観とは相容れない交配観をもち合わせていたことにあった。いや、もち合わせてしまった、というべきか。
 ゆいいつむに。
 本能に逆らって、あえてその真逆の生き方をする。
 そういう生き方をして、そういう……愛し方を、雌に対してもしたい、と思ったのだった。
 そうしてコロンはコロンの価値観を僕に押し付けようとし、僕は僕で自分のそうした価値観を明示することなく、曖昧な態度で嵐をひたすら忍ぼうとする。
 はっきりいえばいいことなんだ。コロンならきっと、そりゃ、かなり苦戦することは目に見えているだろうけれど、納得……とまではいかなくても、妥協策くらいには応じてくれると思う。
 例えば、キスまでなら大丈夫とか。
 と、コロネとキスをする自分を想像して、一挙に身体が熱くなる。
 つまりたちが悪いことには、僕自身がまったく好奇心とは無縁ではいられなかった、ということなのだった。
 だけど、だけどだけどだけどだけど!
 僕みたいな弱い雄がそんな通例に従って、強い雄と同じ生き方をして幸せを得ることができるのか。
 実はそういう、保身に走るが故の狡さもそこにはあったのだった。
 コロンはもしかすると、そうした僕の「狡さ」を無意識に感じ取って、苛立っていたのかもしれない。
『三匹で交配したいのに』
「……!」
 無理、無理だよ! と思った。僕にそんな度胸も甲斐性も、それから……技巧もあるわけない。
 もしかするとこれが一番最大の理由なのかもしれない。
 僕が三匹で交配することへ対しての……。
 コロンのパパにお伺いを立ててみるべきか。
 いや、蛇の巣穴を突くようなものだ。ママにやらかしてしまったときみたいに、いつ何時、パパの心の闇のふたを開いてしまうかもしれない。ちょっと大げさかないい方かもしれないけれど。
 それじゃあ。
 それじゃあ、ニゲルはどうなんだろう。
 あんな立派な、それでいて一嗅ぎしただけで優れた雄であることが容易にわかってしまうような雄は。
 あいつなら、あいつならなんていうだろう。
 コロンの、コロネの手ほどきをお願い、という想いに対して。応えるのだろうか、それとものらりくらりとかわして、コロンが悲しむのを見て楽しむのだろうか。
 そこまで考えて、そういうのはしないのだろうな、と思った。僕みたいに、期待と可能性だけちらつかせておいて、あとはうやむやにしつつ放置する、というやり方とは、最も縁遠い雄であるように思われた。
 あいつの場合は、好意にしろ悪意にしろ、やるときは徹底的にやる苛烈さが先天的に備わっているように感じられる。
 そういうのを「強さ」と捉える向きもあるにはあるのだろう。
 けど、僕にとってそういうのは「強さ」といわない。
 極端なのは、それだけ弱いことの裏返しなんじゃないだろうか。僕とはまた別の意味で。
 畑作業をしていてもわかるけれど、毎年一定の収穫量を保つのは殊の外労苦を強いられるものなのだ。作物には自然界の波のようなものがあって、作り手にはそこを見極める勘が求められる。だから僕にとって「安定」こそは豊穣の象徴であり、幸福の価値基準の根底にあるものなのだ。
 苛烈な生き方を望むのは、毎日を丁寧に積み重ねていく気概に乏しいからなのではないか。
 だからあいつは放浪癖があって、何も足元に積み重ねることができない。
 僕は僕の出した結論に優越感を覚える。
 安定こそたしかな生きる糧である、という価値観をもつ僕にとって、波風を立てることは最も避けたいことだった。そうして何より、コロンとの間にせっかく育んできた絆に、たとえそれが血の繋がった妹であったのだとしても、コロン以外の雌を介在させたくない、という想いが強固にあったのだった。
 けれどまったく興味がないというわけでもない。
「あぁぁぁぁ……」
 僕は頭を抱えて煩悶する。
 その強そうな爪痕を前にしながら。


次の更新は12/22(木)を予定しております。

2016-12-15 : 小説・「千年相姦」 : コメント : 16 :
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webアンソロジー季刊誌「carat!」Vol.4 冬号

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「carat!」、おかげさまで四号目を発行することができました。
……ですが先日もお知らせさせていただいた通りしばしの休刊に入ります。
復刊のめどはまだ立っていませんが、動きがありましたらすぐにブログでお知らせさせていただきたく思います!

以下今回の参加作品です。
敬称略、ご参加順に記載させて頂いております。

■「サティの調律」
(薄く白い/あけみ))

「魔法の妖精プリニャン」
(名劇SSブログ/GT4948872)

「最強WAC陽子ちゃんSP」
(よんこまちゃん/味噌しる)

「冬、やけっぱちのクリスマス」
(scribo ergo sum/八少女 夕)

「#002 メリークリスマス」
(めざせ!脱サラ漫画家/たらこ)

「信じる心、選んだ答えの後」
(真空坂 流線型クラブ/泉 坂)

「イルクート神話第4話「第2章-創生」」
(ASDポンチのアウトサイダー日記/ponch)

「形になりました。」
(とりあえず、書いてみたヲタブログ/あさぎ)

「【真シリーズ・クリスマスイヴ掌編】」
(コーヒーにスプーン一杯のミステリーを/大海彩洋)

「「侵蝕恋愛」LINEスタンプリリースされました! 」
(Fleurage(窓口)/canaria)



さて、 以下は管理人の編集後記もどきです。

【編集後記】
改めまして、このたびは皆様お忙しいなか、拙ブログの企画にご参加下さり誠にありがとうございました。
「carat!」は年四回発行の季刊誌ですが、皆様におかれましても季節の変わり目と共に、ご自分の「節目」を感じていただけたでしょうか。

今回は四号目ということで、季刊誌の「carat!」も一周したことになります。
読み切り作品、シリーズ作品共々ますますの盛り上がりを見せ前号にも増して充実した内容になったと思います。
が……
ここにきて休刊の運びになってしまったこと、大変申し訳なく思います。

今後の見通しはまったく立っておらず、今の段階では必ずしも復刊のお約束はできないのですが、動きがありましたら必ずご連絡いたします。

「carat!」のためだけに新シリーズを興して下さった方々も大勢いらっしゃいます。
それにも関わらず、発起人として、責任を半ば放棄する形になってしまったこと、深く、深くお詫び申し上げます。

「carat!」はひとまずの休刊を迎えますが、皆様におかれましてはどうか健康に留意されて、それぞれの世界を紡がれていってくださいませ。

皆様のご健勝とご多幸ををお祈り申し上げます。
皆様、よいお年をお迎えください。
canaria

※後日休止中のこのブログについてのお知らせ記事をアップしようと思います。

2016-12-24 : web季刊誌「carat!」 :
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Author:canaria

イラストと小説でオリジナルの世界観を表現しています。時々COMITIAに出たりもします。上の画像はたらこさんが描いて下さったものを無理やり強奪してきたものです。たらこさんいつもありがとうございます。初めましての方はこちらをどうぞ。

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Nymphe(ニンフェ)名義の本家HPです。ここを見て興味を持って頂けたらこちらも覗いて頂けると嬉しいです。

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『侵蝕恋愛Ⅰ紅き瞳の双花』
この世に居場所のない二人は、互いに何を求め、何を互いに見出したのか。
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『侵蝕恋愛Ⅱ蜜月』
ケイは路地裏で出逢った両性具有の少女の「片割れの性」に溺れ込むーー。
『侵蝕恋愛Ⅲ孤児院日誌』
ファーンは明け方の海で亡き母に瓜二つの少女セイレンに出会うーー。
『侵蝕恋愛Ⅳ恋人たちの契約』
一冊の手記がケイを過去へとからめ取るーー。
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webアンソロジー季刊誌「carat!」(※休刊中)

素敵な作品をありがとうございました。
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