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『千年相姦』二章 『クルルー様の冒険譚』 第四夜 サリー

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クルルーがコロンの村にやってきて数日経過しました。
以前からコロンの話の中でちょこちょこ出張っていた「サリー」、ついに登場です。
彼女は眼鏡ッ娘+お笑い担当みたいな感じの娘です。
彼女は謎の雄キトゥン・ニゲルの妹でもあるのですが、それにしてはニゲルとは似ても似つかない容貌のようです。
ニゲルの正体の謎は深まるばかりですね。
それでは、どうぞ。


【今回登場する登場人物】
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クルルー(11歳)コロン(11〜2歳)サリー(11〜2歳)
謎の雄キトゥン・ニゲルの妹



二章 『クルルー様の冒険譚』 第四夜 サリー


 コロン一家に「黒トラ柄のキトゥンがやってきた」という噂が飛び交うのにそう時間はかからなかった。
 その数日後のこと。
「コロン!」
「サリー!」
 互いの口から歓声が飛び交い合う。
「元気にしてた?」
「見ての通りよ。サリーは相変わらず引きこもりっぱなし?」
「そうよ、新たな発明品を開発すべく、研究に耽っていたの。引きこもりは失礼な話よ、コロン」
「うふふ、ごめんなさい。だって、いっそう肌が青白くなったように感じられたから……、眼鏡もなんだかまた厚くなったみたい」
「勉学を志す者の宿命ね。こればかりは仕方ないわ」
 などなど……。
 会話が途切れることはなかった。
 僕だったらとっくに会話の押収に困っていただろう場面でも、彼女たちは次から次に話題をもち出してきて話に事欠くことはない。
 雄とは根本的にこういうところが違うんだなあ、と僕は性差をあらためて意識する。
 それにしても……。
 僕はちらと、そのくすんだ茶色の髪をしたキトゥンを見遣る。
 三角形の耳はもう残されていない。それは僕もコロンも同様だった。僕たち二匹はここ数週間で一挙に幼なキトゥン時代を抜け出していったのだった。……それはいろんな意味において。
 つまりコロンと会話に花を咲かせているこの雌も、僕たちと同年代のキトゥンなのだ。
 これがサリー……。

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博識の雌キトゥン・サリー


 目を覆うような大きな装身具を顔に装着している。これがコロンのいう「めがね」というものなのだろうか。きっと商いを生業にするキトゥンたちから買ったものに違いない。なんのために着ける装身具なのだろうか。僕は「めがね」が何であるのかわからなかった。だけど「勉学を志す者の宿命」ともサリーはいっていた。研究の徒が身につける、一種の意思表示の意味合いも兼ねた装身具なのだろうか。〈千年森〉しか知らない僕には、考えてもやっぱりよくわからなかった。
 ニゲルにはまったく似ていない。
 顔の大半を覆う……「めがね」の分を差し引いても、サリーはニゲルとは似ても似つかない雌キトゥンだった。瞳も極端に小さいし、身体も妙に細いというか、日照不足の植物みたいにひょろひょろしている。コロンがいうようにほとんど家から出てこないというのは事実のようだった。
 ニゲルはあんな離れの草原にいたっていうのに。
 なぜだろう、僕はニゲルのことを思い出すとき、どうしても毛の色や瞳の色を明瞭に思い描くことができない。ただ、決まり文句のように「酷薄そうな瞳をした冷たい印象の美しい雄」という言葉だけははっきり浮かぶから、それが僕のニゲルに対する印象なのだろう。きっと、それ以上も以下もないということなのだ。少なくともニゲルは、こんな暖色系の色素をもったキトゥンではなかった。とにかく、僕の中でニゲルは、どちらかというと僕に近い色相をもった雄として認識されていたのだった。暗めの髪に、薄い色素の瞳。
 そこまで思い浮かべて、ニゲルの顔が自分の醜い顔と重なって再現されていることに気付いて、その居心地の悪さから逃れるように僕は大きく頭を振る。「あら」
 サリーが異様な動きで首を方向転換させた。僕をめがねの奥から注視している。初対面なのにまるで遠慮というものが感じられない。
「あらあらあらあらあらあらあらあら」
 つかつかと、めがねの縁に手を添えながらに僕に迫ってくる。
 こ、怖い。
「新たな研究材料が!」
 ばっ! 鳥のように腕を広げる。鳥っていうか、まるでコウモリみたいだ……。
 僕は思わず後ずさる。
 サリーのめがねに陽光が反射しているのが、いっそう彼女を得体のしれない存在に映しているのだ。
 コロン、助けて……、僕はすがるような気持ちでコロンを見遣る。
 コロンはなぜかころころと笑ったまま、助けるふうもない。
「ほうほう、ほうほう、ふうーん……」
 めがねを上に持ち上げる。ずり下がりそうになったからだろう。
「灰色がかかった黒髪、アイスミント色の瞳、陶器の肌……、鉤尻尾」
 鉤尻尾、連呼される。
「……」
 僕はさっと羞恥で頬が染まるのを自覚する。
「ぷっ、鉤尻尾だって、鉤尻尾……!」
 ぷははははっ!
 地面にひれ伏しながら苦しそうにお腹を抱えて笑っている。笑いが止まらなくて苦しんでいるのだ。
「……」
 咎めるよりも何よりも、恥ずかしくて堪らない気持ちでいっぱいになってしまった。
 だけど不思議と嫌な気分にはなっていなかった。少なくとも「馬鹿にするな!」とか「気にしているのに……」なんて後ろ向きな気持ちになっていないことだけはたしかだった。
 そりゃ、恥ずかしいことに変わりはなかったけれど……。
 僕は退化しかけの尻尾を所在なさげに左右に振る。
 えーっと、こういうのなんていうんだっけ。
「憎めないでしょ」
 コロンが目に涙を浮かべながら僕に囁く。
 ああ、そうか、憎めない。
 いけすかない、の正反対。
 ニゲルの反対。
 失礼なことをされていても、それが嫌味にならないっていうか。
 純粋な学究的好奇心だけで、そこから悪意や含みが感じられないからかな。
 ……だいぶ、個性的な雌キトゥンであることに違いはないようだけれど。
 正直にいうと、思い描いていた「サリー像」とは大きくかけ離れていた。だけど実物のほうが、僕の貧困な想像よりももっとずっと面白い。
 僕はサリーに親しみを覚えた。
 同時に、コロンがいかに僕にとって「かけがえのない」雌であるのか、それをあらためて認識させられたような気がした。
 ドキドキドキドキ……。
 なぜか心臓の鼓動が大きく聞こえる。
 僕にとってコロンは特別な存在なんだ……。
 そう思うと胸に温かな思いが満ちていくのがわかった。
 交配をしているときのような、灼熱の炎のような熱ではなくて、もっと穏やかな……。
 そう、まるで、今射している、午後の柔らかな日だまりのように……。


次の更新は11/10(木)を予定しております。
2016-11-03 : 小説・「千年相姦」 : コメント : 31 :
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『千年相姦』二章 『クルルー様の冒険譚』 第五夜 コロンのパパ

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クルルーがコロンの村にやってきてからはや二年の月日が経過しました。クルルー、すっかりコロンの「お婿さん」的な感じでコロン一家に馴染んだようです。
さて、今回副題は「パパ」と銘打ってますがコロンのパパは出てきません。クルルーと前回登場した眼鏡っ娘サリーが会話をしているようなのですが、このサリー、耳年増な上におしゃべりなものですからどうやらいろいろなことを暴露しちゃったようです。また、その煽りを受けて、前々回くらいでコロンがクルルーにした例の「お願い」の全容も明らかに。
サリーの秘めたる気持ち、覗き見えたコロン一家の過去。
徐々に明らかになっていくクルルーを取り巻くキトゥンたちの「綻び」を垣間ご覧ください。
それでは、どうぞ。


【今回登場する登場人物】
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クルルー(13歳)サリー(13〜4歳)


二章 『クルルー様の冒険譚』 第五夜 コロンのパパ


 僕がコロン一家の元にやってくるようになって二年の月日が経過しようとしていた。それなのに「お隣」であるはずのサリーの「兄」(※管理人注/ニゲルのことですね。ニゲルとサリーは兄妹でコロン一家の隣人という設定です)には、こと出会うことがまったくなかった。
「ねえ、サリー。君、お兄さんがいるんだよね」
 僕はある日、思い切って尋ねてみたことがある。サリー一家は本当に「お隣」で、一歩外に出れば三日に一度はサリーに会うという具合だったのだ。
「ええ」
「変なことを尋ねるみたいだけど、君のお兄さんもその……『ひきこもって』いるの?」
 サリーが眼鏡の奥の瞳を光らせる。
「どうしてそんなこと訊くの?」
 それからわたしは別にひきこもってなんかいないわよ、肩をすくめる。それは、そうだ。今だってこうやって垣根越しに話をしているのだから。燦々と陽光が照っている。
「わたしとは知識の求め方が逆の方向に向かうみたいなの。あいつは放浪癖がひどくって」
「放浪癖?」
 黄色の花畑が広がっていた土地。ここからは、少し離れている。
 そういうことだったのか、と合点したのだった。(※管理人注/「黄色の花畑」とは、クルルーとコロンが初めて出会った土地のことですね。ニゲルとかち合った場所でもあります)
「今もきっとどこかに行っているのよ。そのたびに法螺(ほら)を仕入れてきて村のみんなに吹聴して回るのよ。妹としてはいい迷惑だわ」
 といって、兄に関する愚痴を延々その後続ける。なおも止まらないサリーを遮って「ちょ、ちょっと待ってサリー!」
「あら……ごめんなさい」
 自分の思考に沈む癖があることを自覚しているようだった。少しだけ気まずそうな眼差しで僕をうかがうように見つめている。こうしていると意外にかわいらしい。
「こ、こっちこそごめん。その、あのさ、……君のお兄さんの法螺って、つまりその……噓つきなの?」
「噓つきっていうか、なんでも真に受ける性格なのよね。好奇心旺盛なのはいいんだけれど、事の真偽をはっきりさせないまま、仕入れてきた知識をのべつまくなし披露するものだから誤解されるのよ。……悪気はないのよ」
 と、最後だけは少し庇うように優しい口調になった。
「そうなんだ……」
「軽蔑しない?」
「えっ」
 僕はまったく別のことを考えて物思いに耽っていただけなのだけれど、それがサリーには蔑視しているというふうに映ったらしい。
「ち、違うよ! こっちのこと! それよりもサリー、君って、家族思いなんだね」
「……さあ、知らない!」
 サリーが横をつんと向いた。サリーの、複雑な形に編み込まれた髪が尻尾みたいに跳ねた。いい匂いがした。
「ん? サリー、頬に何かついてるよ」
 目に飛び込んできたその黒い塊を指で拭う。「ひゃっ」サリーが水鉄砲を浴びせられたみたいに身をすくませた。
「ななななななななっ、何するのよっ」
 風船のように頬を膨らませてる。おまけに赤い。
「何って、頬が汚れていたから……」
「これは研究中の貴重な素材よっ、気安く触らないでっ!」
 と乱暴に頬を拭う。「貴重な」素材が無残に指で押し潰されていって見る間に頬が墨色に染まっていく。
 せっかく白くてきれいな頬なのに。愛嬌のあるそばかすも隠れちゃった。
 そういうといっそう激昂された。
「ねえ、それってなんのための素材なの?」
 怒りの矛先を逸らそうと話題を変える。「何って、点火しやすくするための素材よ」「点火?」「炎よ」「ふぅん……」
 サリーは単純だ。あっという間にそれこそ怒りを鎮火させていった。
「君、すごいね。今度詳しく教えてよ、その発明品のこと」
「あんたも変わってるわね」同好の士を見るような眼差しに僕はくすっと笑った。眼鏡の奥の瞳は意外なほどに大きいことに僕はとっくに気付いていたけれど、それは胸に仕舞っておいた。こんなこといったら君はまた怒るだろうから。
「まあ……」
 こほん、と咳払いをして、サリーが気を取り直したふうに話を再開する。
「コロンが『交配の旅』に出かけたときは、あいつもついていって、あんたたちにずいぶん迷惑かけたみたいじゃない?」
「……それは」
 あいつのいけすかない態度を思い出す。
「まったくねえ、人のコイジを邪魔して何が楽しいんだか」
 といってサリーが目をさっと伏せた。それはほんの一瞬のことだったけれど、僕はその変化を見逃さなかった。
「コイジって何」
「何って……」
「どういう意味」
「どういうって……」
 サリーが口をぽかんと開けて、それから困ったふうに眉を寄せた。
「あんたたちのようなことをいうのよ」
「あんたたちって、……僕とコロンのこと?」
「……そうっ、あんたと、コロンのこと!」
 なぜか少しだけ怒ってるみたいだった。僕の物覚えが悪いからだろうか。それとも先ほどの怒りの火がまた再燃したのだろうか。博識な雌からみると、僕のような雄はさぞ鈍くさく映って見えるに違いない。
「ふうん……恋路」
「恋、ってことね」
「恋……」
「好きってことよ」
 サリーの目が、少しだけ空をさまよっている。眼鏡の奥の、その実、大きな瞳がきょろきょろと落ち着かなさげだ。
「ねえ、クルルー、わたしにもいつか『恋』できるかしら」
「そりゃもう! 君ほど面白い雌もいないから、僕が保証するよ!」
 僕は日ごろ思っているそのままをサリーに伝えた。
「……そういう、ことじゃ、なくて」
 サリーが珍しくいい淀んだ。「誰かの『唯一無二』になれるかしら、ってことよ」
「ゆいいつむに?」
「一匹のキトゥンだけにすべてを捧げること」
「一匹のキトゥンに、すべてを……」
「そう。ニゲル兄さんが大好きな言葉で、ニゲル兄さんにとってのコロンのこと……。あっ」「えっ……」
 垣根越し、風が吹いた。馥郁(ふくいく)とした新緑の匂いが心地いい。だけどそれは、二匹の間が沈黙で浸されたということでもあった。
「サリー、それってどういう……」
「……えっと、今のは聞かなかったことにしてください」
 眼鏡を支えながらの丁寧な言葉遣いが逆に怪しかった。
「ニゲル……あいつやっぱり……」
 身体がわなわなと震えた。忘れ去ったはずの危機は、「お隣」にやっぱり潜伏していたのだ。
「ちょ、ちょっと待ってクルルー、落ち着い……、あ、あのね、これは朗報よ、そうだったのは昔のことで、ここ最近はコロネちゃんのこともまんざらじゃ……」
 ほら、あの姉妹は顔が似ているし。
 今度は僕の怒りの炎が着火する。
「もっと悪いよ! だ、だめ! だめだよ! コロンは僕のものだ! コ、コロンによく似たコ、コロネも、ぼ、僕のものっ……」
「えぇ!?」
 といったのは二匹同時だった。
「あ、あんた、そんな、あっちもこっちも自分のものだなんて、そんな昔のコロンのパパみたいなこと」
「い、今のは聞かなかったことにしてください」
 直近の自分の発言を撤回すべく、思わずサリーの言葉を真似てしまった後、
「えぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
 僕たちは二匹同時に叫んでいた。
「昔!? のコロンのパパがなんだって!?」
「ヒァァアアア……ッ、サリーの馬鹿、馬鹿っ!」
 サリーは頭部を抱えながらその場にしゃがみこんでしまった。
「ねえ、君、前々から思っていたんだけど……知識欲が旺盛っていうより、チジョウノモツレに首を突っ込むのが好きなだけなんじゃ……」
「チジョウなんて難しい言葉、し、知らないっ、知らないっ!」
 物知りのサリーでも知らないことがあるのね、とコロンはそれでもいうだろうか。
 それにしてもニゲルのことはともかく、コロンのパパのことはそれこそ「聞かなかった」ことにしておいたほうがいい。
 絶対に。
 これは、小心者のキトゥンだからこそ鋭敏に嗅ぎ取れた、危険信号のようなものだった。
 コロンは、サリーが「口を滑らせたことの内訳」」を知っているのだろうか。知らない可能性のほうが高かった。コロン一家と二年も一緒に過ごしていれば、それはわかる。
 あの家庭は平和そのものだ……。
 だけどコロンのパパは、「パパ」という語感に似つかわしくないほど、異様に美しい雄キトゥンだ。

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 つまり、つまり、えーっと。
 とにかく、と僕はそこで考えることを打ち切った。
 問題は山積みだ。
 ニゲルのこと。
 コロンのこと。
 それから……コロネのこと。
 頬が赤くなる。
 僕って、僕って、なんだか最低な雄キトゥンじゃないかな。
『そういうこと』が許されるのは、それこそコロンのパパやニゲルみたく強くて美しい雄だけのことなんじゃないかな。
 だけど僕はキトゥンの社会にまだまだ疎かった。
 けれどコロンは、初めてコロンの家に足を踏み入れた二年前のあの夜、僕になんていってたっけ。
『コロネにも手ほどきをしてあげてほしいの』
「わあああああああああっっ、そういうことだったのか!」
「わあああああああああんっ、サリーの馬鹿っ、馬鹿っ!」
 場は、収集がつかなくなっていた。
 絶叫の掛け合いは、遊びに出かけていたコロンとコロネに「二匹ともどうしたの?」と声をかけられるまで続いた。
 僕は姉妹を直視することができなかった。


次の更新は11/17(木)を予定しております。
2016-11-10 : 小説・「千年相姦」 : コメント : 30 :
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【お知らせ】webアンソロジー季刊誌「carat!」vol.4 冬号 締切一ヶ月前です


【お知らせ】
webアンソロジー季刊誌
「carat!」vol.4 冬号
募集のお知らせ

というわけで、締切約一ヶ月前ということで「carat!」vol.4 冬号募集のお知らせです。
以下、募集内容です。

webアンソロジー季刊誌「carat!」
vol.4 冬号 募集要項

【締 切】12月14日(水)
【発行日】12月24日(土)


【対象】

FC2ブログ及び他ブログやHPなど、創作サイトをお持ちの方対象ですが、必ずしも創作サイトである必要はございません。(例えば、動物ブログ、お料理ブログ、ROM専の方のご参加も大歓迎!)
「carat!」の活動にご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

【参加要項】
オリジナルの作品であれば何でも構いません。

■小説・詩・短歌(五千字程度)
■漫画・イラスト
■音楽・動画
■普通の記事(創作に関することでなくても大丈夫です。動物自慢・自作お料理のお写真・評論・日記等)

書き下ろしである必要はございません。
過去記事や連載作品でのご参加も大歓迎です!

参加ご希望の方は、

①ご自分のブログもしくはHPに、いつも通りに作品をupして下さい。
その際、「carat!」参加であることを特に記載頂く必要はございません。
必要でしたらこのバナーをお使いください。

②作品をご自分のサイトにupされましたら、以下の内容をこの記事のコメント欄にお寄せください。

■作品のタイトル/サイト名/H.N/作品のURL/「carat!」参加希望!
↑(これをコピペして使ったらいいと思うよ!)


例えば、管理人でしたら

■侵蝕恋愛/Fleurage(窓口)/canaria/http://lunefleurage.blog.fc2.com/blog-entry-7.html/「carat!」参加希望!

という風に。

締切は2016年12月14日(水)。
発行日は2016年12月24日(土)。
お寄せ頂いた作品のURLを、このブログの記事内に貼らせて頂く形で発行となります。
皆様ふるってのご参加をお待ち申し上げております。
それでは、よろしくお願い致します!


↓以下細かな事項について↓
【閲覧制限について】
未成年の方が参加されることも考慮しまして、「露骨に成人指定である」と一目で分かるような作品でのご参加はお控えください。
(リアルなタッチのもろ性器のイラストとか。小説や漫画等、お話の中で「匂わせる」程度でしたらOKなんじゃないかと思います。基準が今いち分からない方は管理人までご一報ください。一緒に考えましょう。←)

【著作権について】
言うまでもないですが、著作権は各作者様に帰属致します!

【「carat!」の由来】
ダイヤモンドの一カラット二カラットとかのあれから着想を得ました。

皆様の溢れ出る個性=ダイヤモンドの一面
ダイヤモンド=皆様の個性の集合体

一つの宝石を象っているけれど、決して変に迎合することなくそれぞれが強烈な光(カラット)を放っている。

みたいな意味です。
正確には多分意味間違ってるけど、イメージとしてはそんな感じです。

【その他】
webアンソロジー季刊誌ということで、発表形態はもちろんweb。
季刊誌なので、春夏秋冬の年四回発行。
3月、6月、9月、12月のそれぞれ20日前後の発行を予定しております。
ご自分の作品発表の場として、また相互交流の場として、皆様それぞれの創作スタイルに応じて「carat!」をご活用ください。
2016-11-14 : web季刊誌「carat!」 : コメント : 33 :
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『千年相姦』二章 『クルルー様の冒険譚』 第六夜 コロンのママ(1)

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クルルーがコロンの村にやってきてはや六年の月日が経過しました。パパの畑仕事を手伝ったりママの家事手伝いをこなしたりとクルルー、すっかりコロン一家に馴染んだようです。
そんなクルルーが今回はママのことを語っているようです。クルルーはママに対してどんなことを思っているのでしょう。
養親レフィナとの比較もあり思い入れがあるようです。
ママの章、これから三回に渡ってお送りします。まずはその一回目、それでは、どうぞ。


【今回登場する登場人物】
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クルルー(17歳)コロンのママ


二章 『クルルー様の冒険譚』 第六夜 コロンのママ(1)


 僕がコロン一家の「家族」の一員になってから、はや六年が経過しようとしていた。(※管理人注/前回から四年後、13歳+四年で現在17歳ですね)
 昼間はコロンのパパのお手伝いをし、夜はコロンのママのお手伝いをするといった具合で、僕はすっかりコロン一家の一員として認められるようになっていったのだった。ちなみに、コロンのパパのお手伝いは「畑仕事」で、コロンのママのお手伝いは「家事全般」だった。
 コロンのパパの畑仕事の指導方法は、親しみやすさの中にも程よい緊張感があった。コロンのパパは、緩急のけじめをつけるのが本当に巧みな雄だった。
 こういうところが、きっと魅力的な雄のゆえんなんだろうな。
 知らないふり知らないふり。
 数年前にサリーから思わぬ「ジジョウ」を耳にしてからというもの、(※管理人注/前回サリーが暴露してしまった昔のパパの浮気疑惑のことですね)何かといろいろな場面で自分にいい聞かせるようになった。
 すべては推測にしか過ぎないことだったし、具体的な事柄を僕はいまだ知っているわけではない。
 けれどそのことを小耳に挟んでからというもの、僕のコロンのママへ対する印象は如実に変化していった。
 僕って、コロンが泣いたときもそうだったけれど、「か弱い雌」に弱いみたいなんだ。
 別に、コロンのママはいかにもか弱い、といった風情を覗かせていたキトゥンだったというわけでは決してない。ただ、僕の偏向した眼差しが、ママキトゥンを儚げな存在として再構築する発端になったのはたしかな事実だった。
 だけれども、それが結果的に、コロンのママと多くの時間を過ごすようになった契機にもなって、それを皮切りに、一気にコロン一家と溶け込めるようになっていったのだから、災難中の幸い、といったことだったのかもしれない。
 あの四年前のサリーの「失言」は、どう考えても不慮の出来事であり災難だった。
 つまり、日常とは無縁のもの。
 コロンのパパに何があったのか知らないけれど、(いや、もしかすると現在進行形で何かが起こっていたにせよ)、少なくともコロン一家の日常は平穏そのものだ。コロンのパパだって、それはそれは判で押したように規則正しい生活を送っている。それは僕と一緒に畑仕事に出て、僕と一緒に家に帰る当の僕がいうのだからたしかなことだ。その後ママのおいしいご飯を食べて僕たちより一足先に早く寝る。コロンのパパはママの料理を食べるためだけに生きているようなキトゥンだった。
 実際、それはそうだったのだから。
『ママの料理は絶品なんだ』
 ああいうのを「のろけ」というのだろう、と僕は自分を脇においてコロンのパパの緩んだ顔を思い出す。
 コロンのママの料理は、たしかに『絶品』だった。それはもう、毎日が色鮮やかな彩りに満ちているのだ。赤と緑と黄色の配置が美しい。食材自体は質素なもので、畑から収穫した、売り物にならない歪んだ形をした野菜を使っていたりするのに、ひとたびコロンのママの手にかかると、それは一挙に飛躍を遂げてしまうのだ。まったく別のものになるといっていい。
 ネズミやモグラを時には使うこともあった。時には蜘蛛も。だけどコロンのママが手を一振りするだけで、グロテスクな外見を有するそれらの食材も、まるで鑑賞物のように美しいものに変身してしまうのだ。
 一振り、というのはいいすぎた。
 コロンのママが果てない労苦の果てに毎日の料理を食卓に提供しているのは知っている。その手間は僕が嫌というほどわかっている。僕がコロンのママと一緒にいる時間が最も長いからだ。
 僕は基本的に「下拵え」という過程のそれまた「補助」を主に担当させてもらってるんだけれど、その「下拵え」の細かい行程のなんと多いことか……。一つ一つは単純で安易なものに過ぎないのに、その数が尋常じゃなく多岐にわたっているのだ。しかもそれを「応用」する発想力も求められる。だから僕は、一つ覚えた「下拵え」が、どういったときに適用されるべきなのか、しばらくは勘をつかむのも苦労していたほどだ。
「こういうのはね、クルルー、理詰めで覚えるものじゃないのよ」
 とある日、必死に「下拵え」の過程を書き留めていた僕を称してママがそういったことがある。「柔軟性と、あとは、愛情なの」
 そういったときのコロンのママのなんと美しかったことか!
 毎日使う、染みのついた前掛け、すり切れた衣服。申し訳程度に編まれた、素朴な髪型をした橙色の髪、そばかすの目立つ頬。
 けれど、コロンのママは、真綿で人を包み込むような包容力がある。
 どんな失敗も、どんな間違いも、コロンのママは全部受け入れてくれる。受け入れてくれた上で、決して相手を傷つけないように、それでいてよりよい「道」をそれとなく示してくれる。押し付ける、ということが決してないのだ。
 コロンのパパが理路整然とした感じで答えを提示してくれるのだとしたら、コロンのママは答えを僕たちに委ねてきてくれる感じ。
 そこがまた、僕の自尊心をくすぐって、勝手にこっちからどんどんコロンのママの魅力にはまっていく感じなんだ。あっ、いっておくけど、これはコロンのパパが「はまって」いるような「はまっていく」じゃないよ。思い切り甘えてなお、すべてを受け入れてくれる存在に対して自然と芽生えてしまう情愛なんだ。僕は情愛という概念をコロンのママから学んだといってもいい。
 そうしてそれこそは「ママ」という存在なのだ。かけがえのない家族の光であり僕たちの命を毎日作ってくれる存在。
 まるで月のようだ。
 決して太陽と肩を並べることはない。そうして太陽の光を浴びて、夜にひっそりと輝く。
 そうして僕は、その「ひっそり」の中にある、コロンのママのものいわぬ「想い」に実は少しだけ興味があったんだ。
 ……仔どもの一匹として。
 血は繋がっていないけれど、いいよね、こんな仔どもが一匹くらいいたって。
 森色をした、霧みたいにぼんやりとした人影が浮かんだ気がしたけれど、すぐに料理の湯気みたいに消えていった。(※管理人注/養親レフィナのことですね)
 僕はすっかり〈千年森〉のことを忘れ去っていたのだった。


次の更新は11/24(木)を予定しております。
2016-11-17 : 小説・「千年相姦」 : コメント : 29 :
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『千年相姦』二章 『クルルー様の冒険譚』 第六夜 コロンのママ(2)

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三回に渡ってお送りするママの回の二回目です。
どうやらクルルーとママ、一緒に連れ立って月夜の散歩中のようです。沐浴に向っているのですね。
クルルー17歳なのにママと一緒に手を繋いだりママと二匹きりで沐浴に向かったりいろいろツッコミ所満載なのですがクルルーの噓がそろそろ露呈しかかっている、ということなのかもしれません。(ちょっとネタバレ)
前回に引き続き「食」についても言及していますが食が心身に与える影響というのは殊の外大きいのかもしれませんね。
そんなクルルーとママですが、どうやらクルルー、会話の最中に「地雷」を踏んでしまったようです。
そうです、昔のパパの浮気疑惑を巡っての地雷です。
ひやひやな地雷の回。それでは、どうぞ。


【今回登場する登場人物】
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クルルー(17歳)コロンのママ


二章 『クルルー様の冒険譚』 第六夜 コロンのママ(2)


 コロンのママと「月夜の散歩」をするのが日課になっていったのは自然な流れだった。
 僕が一番遅くまでコロンのママの「お仕事」に付き合う。僕を含め、家族五匹分の料理の後片づけは手間がかかる。
 その間にパパやコロン姉妹は近場の湖で沐浴を済ませる。そうして彼等と入れ違いになるようにして、僕とコロンのママが沐浴に向かうというわけなのだった。
「ママを奪わないでね」
 というのは、沐浴後のパパの挨拶のようなものだった。僕はそのたびにむきになって否定し、そのたびにコロンのパパの発言に内心でひやひやさせられたものだった。
 四年前にサリーにもたらされた、例の「ジジョウ」の件が尾を引いていた。(※管理人注/昔のパパの浮気疑惑のことですね)
 コロンのママはどんな思いでパパの他愛のない冗談を聞いているのだろうかと思った。
 けれどママはいつも笑っていた。
 それ以外の表情を知らないみたいに。
「今日の料理も美味しかったです」
 ことさら弾んだ足取りで夜道を歩いていく。
 手にはコロンのママの手のしっとりとした温もり。
 コロン姉妹に苦笑されるゆえんだ。「わたしたちはもう卒業したのに、今度はクルルーなのね」
 ママがママの役割から解放されることは永遠にないみたいだ。だけどおかげで、僕は生まれて初めて「ママ」という存在を独占できる……。
 え? レフィナ?
 あんな奴、親でもパパでも、ママなんかじゃもっとない。
 あんな得体のしれない奴。
 コロンのママみたいに、もっと食事を工夫しろっての。
 だから僕はあんたから離れていったんだ。
 毎日毎日毎日……、同じ料理ばかり。
 手抜き料理ばかり。
 愛情の一欠片もない。
 あんな、あんな奴のこと。
『おまえは腐りかけのヌイの実が好きな、変わったキトゥンだから』
 違う。そんな殊勝なこと、レフィナがいうわけがない。僕の感傷がもたらした幻聴だったんだ。まやかしだったんだ。
 知らない、知らない、知らない、……あんな奴!
 今傍にいるコロンのママがすべてだ!
「……でね、それはもちろん、クルルーがお手伝いを頑張ってくれたおかげでね、……」
「え?」
「……あら、わたしの話を聞いていなかったのね。悪い仔」
 くすくす……、僕はその横で咄嗟にうつむく。謝る代わりにコロンのママの手をぎゅっとつかむ。
 遊離した意識を地面に縫い止めるように。
 執拗な〈千年森〉の記憶を追い払うように。
「……お母様のことを考えていたのかしら」
「えっ」
「レフィナさんのこと」
「……」
 ものすごい非日常感だった。同時に、心の中の何かを素手で鷲づかみにされたみたいだった。
 ち、違うよ、そんな意味じゃなくって。
 ただ、僕の心の準備ができていなかったってことで……。
 ただ、僕の心の整理が伴っていなかったってことで……。
「寂しいわよね……」
 ママの声が数歩先の細長い木立の中に吸い込まれていく。ここらの樹木は、どれもこれも細長くて貧相な印象を受ける。
 見た目は整然としていてきれいなんだけれど。
 ママをそっと見上げる。
 優しい輪郭の横顔が月明かりに反射していて眩しいほどだった。
「寂しくなんかないです。ママがいるから……」
 また、ぎゅ、っと握る手に力を込める。
「だけどずっと一緒にいた方なんだもの。やっぱりわたしとは違うでしょう?」
「違うといえば違うけど、どちらかというと、いえ、どちらかといわなくてもいい意味で違います」
「どういうことかしら」
「……コロンのママのほうがいい」
「……クルルー?」
 僕が立ち止まったことに勘付いたのか、コロンのママが振り返る。
「僕……、僕、……いじめられていたんです」
「……」
「毎日、手抜き料理ばかりで……」
「……」
「暴力まがいのことも最後には受けました」
 言葉のですけど、という事実は引っ込める。
「いっつも、よそよそしくて」
「……」
「いっつも、いっつも、……僕以外の何かを想っているようでした」
「……クルルー以外の、何か……?」
「さあ、どうでしょう、それが何かはわかんないんですけど、一緒にいたらわかりますよね。そういうのってわかりませんか。普通にしてるっぽいけど、あ、こいつ、別のこと考えてるな、とか、上の空だな、とか」
「……」
 雲が移動して月の全貌が露になる。今夜は満月だった。僕たちの様子を素知らぬ顔をしながらその実、じっと観察している。
「そうねえ……、そういうの、わたしにも覚えがあるかも」
「……」
 あ……、しまった、と思った。
 やってしまった。
 多分、僕は、コロンのママの触れてはいけない場所を、きっと突いてしまった……。


次の更新は12/1(木)を予定しております。
2016-11-24 : 小説・「千年相姦」 : コメント : 26 :
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