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『千年相姦』二章 『クルルー様の冒険譚』 第三夜 コロネ(1)

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【これまでのあらすじ】
『交配の旅』から七年ぶりに〈千年森〉に帰郷してきたクルルー(キトゥン・18歳)。
養親・レフィナ(自称ニンゲン・年齢不詳)との再会を喜ぶのも束の間、七年の月日は一人と一匹を大きく隔てる。
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夕食を共にしていても沐浴をしていてもモヤモヤが拭えないクルルー。
「レフィナ、僕と一緒に寝て」と言ってみたり養親レフィナの背後から抱きついたりと何かと思わせぶりな態度を取るクルルー。かと思えば無邪気にレフィナの懐に顔をうずめてみたりとクルルーの態度は一貫しない。彼の「本意」はどこにあるのか。
そんな中クルルーが「レフィナを(寝物語で)満足させることができたら、レフィナの顔を見せてもらっていい?」と話を持ちかけ自らの旅の話、題して『クルルー様の冒険譚』を語り出す。ここまでが第一章。


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そして第二章『クルルー様の冒険譚』に話は進み、視点は七年前、11歳のクルルーに移行する。
そこでクルルーは初めての雌キトゥン・コロンに出会い、瞬く間にコロンに惹かれていくことになる。覚束ないながらもキスをしたりなんやかやで交配を成立させるクルルーとコロン。そんなさなか、二匹の様子を見つめる不穏な眼差しが……。


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二匹の交配を見つめていたのは「ニゲル」という名の美貌の雄キトゥンだった。年齢はクルルーより少し上で明らかにクルルーより力量が上の雄。
本能的危機感でニゲルから逃れる必要性を感じたクルルーはコロンに「逃げよう」と訴える。しかしコロンはそれを軽く一蹴する。なんとニゲルは、コロンの友達・サリーの兄だというのだ。彼は「お隣」に住む昔なじみの雄だと。
「おっかない?」「あんたのほうがよっぽど怖くって……魅力的で、ぞくぞくするほど美しい……、ってことよ」
などなど、どうも二匹の「ニゲル」に対する認識は異なるよう。これは一体どういうことなのか。
真実がうやむやになったままコロンに押し倒され再び交わる二匹。
そして夜を迎え、二匹は目を覚ます……。


【今回登場する登場人物】
   
         クルルー(11歳)     コロン(11〜2歳)


二章 『クルルー様の冒険譚』 第三夜 コロネ(1)


 頬に突き刺さるようなひんやりとした空気で目が覚めた。脱ぎ捨てた衣服を掛布代わりに被ったコロンが、隣で健やかな寝息を立てている。スースー、という、ほとんど聞き取れない静かで控えめな寝息に、僕はコロンの雌らしい一面をあらためて認識する。
 それよりも。
 僕は身を起こし、周りを見渡した。
 すっかり夜が更けている。

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 月が煌々と輝いて、地上に広がる花畑よりも凍てついた黄色い光を放っていた。
 同じ色相でも、月のほうがより神々しく映って見える。
 どちらかというとレフィナの右目の瞳の色に近い。
 というより、レフィナの瞳のようだ。
 半月型の、少しきつい眼差し。
 それにしても、よくこれだけ無防備な状態であったにも拘らず、ニゲルの「襲撃」にあわなかったものだ。襲撃なんていうと、大げさに聞こえるかもしれないけれど、あいつならやりかねない。
 あんな酷薄そうな瞳をした雄なら。
「コロン……、コロン」
 起きて、と、僕は多少申し訳なく思いつつも彼女の剥き出しの肩を揺する。「コロン、出発しよう」「ん……出発?」
 コロンが瞳をしばたたかせながら、寝返りを打つ。寝ぼけているのかな、と思ったけれど、コロンはゆっくりとした仕草で上体を起こした後、すぐさま衣服を身にまとっていった。その後、幼なキトゥン時代の名残で、手の平や手の甲を頻に舐める。
 一頻り身繕いが済んだ後、コロンが確信を突く質問した。
「出発するって、どこへ?」
 どこへ。
「どこって……」
 僕は咄嗟に周囲を見渡す。
「えっと、どこか遠い所に……」
 僕は蝶を探すみたいに視線を上下左右させる。そんなことしても「どこか」が見つかりっこなんてないということを認識しつつ。
 コロンが小さく伸びをする。
「う……ん、この辺りなら、わたしのほうが詳しいから」
「えっ!」
 僕は驚きのあまりコロンの両腕を下に引っ張る。
「僕と一緒に逃げてくれるの!」
「逃げるっていうか、そろそろこの場所にも飽きてきたし……」
 良かった。
 とにもかくにも、幸か不幸か互いの利害が一致したということなのだ。コロンの魅力の一つでもあるのだろうけれど、彼女は我の強いところがあったから、説得は難しいと実は内心危惧していたのだ。
「うーん、そうねぇ……」
 時間も時間だし……といって、コロンが空を見上げる。

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 紺色の空に、薄墨色に染まった雲がたゆたうように浮かんでいる。夜に流れる雲はなんだか僕を不安な気持ちにさせる。
「あっ!」
 コロンがくるりと一回転する。
「そうだクルルー! わたしの家にいらっしゃいよ!」
「コロンの家に?」
 それはいい提案だ、と流されるように了承しようとした矢先、僕は猛然と却下する。
「だ、だ、だめ、だめだよ! さっきいってたじゃないか、あのおっかない雄……、ニゲルはお隣だって!」
 僕はコロンにぐいと顔を近づけて、この危機をなんとかわかってもらうべくまくし立てる。「あいつにコロンを奪われちゃう!」
「あんたが何をそんなにむきになっているかわからないけど……、ニゲルほど弱くてあしらいやすい雄もいないわよ?」
 あんた本当にニゲルに会ったの?
 いぶかしげな眼差しを向けられる。
「ニゲルって、えーと、ほら、髪の色はどっちかっていうと暗い感じの……」
「まあ、暗いといえば暗いわね。わたしほど鮮やかじゃないのはたしかだわ」
「瞳の色も、薄いっていうか、なんていうか何を考えているかわからないっていうか……」
「まあ、そうね。あの仔はぼんやりしているから」
「ほらっ! やっぱり君のいうニゲルじゃないか!」
「落ち着きなさいよクルルー。たしかにわたしのいうニゲルとあんたのいうニゲルは一致したわ」
 姿の見えない相手に対して、互いの認識をすり寄せることほど難しいこともない。
「だけど、それってあんたにも当てはまるのよね」

「な、と、とんでもない!」


次の更新は10/13(木)を予定しております。
2016-10-06 : 小説・「千年相姦」 : コメント : 24 :
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『千年相姦』二章 『クルルー様の冒険譚』 第三夜 コロネ(2)

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「だけど、それってあんたにも当てはまるのよね」「な、と、とんでもない!」
美貌の雄キトゥン・ニゲルを巡って議論を交わし合う二匹。相変わらず二匹のニゲルに対する認識は異なるようですが、クルルーがニゲルに対してやたら卑屈な態度を取るのにはそれなりの理由があったようです。
副題にある「コロネ」(コロンの妹)が登場するのは次週になりますが、その前に二匹のやり取りの顛末をご覧ください。
それでは、どうぞ。


【今回登場する登場人物】
   
         クルルー(11歳)     コロン(11〜2歳)


二章 『クルルー様の冒険譚』 第三夜 コロネ(2)


 あんないけすかない奴と一緒にするな、といった意味で僕は憤慨したつもりだった。
「もう……そんなに自分を否定しなくたっていいのに……」
 だけどコロンは僕の憤りを「謙遜」と誤解したようだった。
「だけどあんたのそんなとこが親しみやすいのよね」
 鉤尻尾も、と、いつの間にか後ろに回り込まれていたコロンに『鉤』部分を口づけされた。「ひゃっ」
「かわいい……、それになんだか色っぽい」
「そ、そんな、そんな色っぽいだなんて、そんなこといわれてもうれしくないよ!」
 僕は雄なのに。
 やっぱりコロンにとって僕は取るに足らない雄なんだ。ニゲルみたいな、非の打ち所のないキトゥンのほうがいいんだ。
 僕はとことん卑屈になっていた。
 発展的な発想は何一つ思い浮かばないくせに、こと後ろ向きなことに関していえば僕はいくらでも思考を呼び寄せることができた。次から次に溢れ出てくる。
 大木に巻き付く、蔦みたいに。
 ぐるぐるぐるぐるとぐろを巻いて止まるところを知らない。それどころか一度浮かんだ嫌な予感が嫌な現実を引き寄せて、その嫌な現実がまた次の嫌な予感を引き寄せる。
 その繰り返しだった。
「ねえ、クルルー、あんたはあんたが思ってる以上に素敵な雄よ」
 冗談をいっているのかと思った。そういおうと口を開きかけて、コロンの眼差しが思いのほか生真面目なものであることに気付いて、僕は怯む。
「だ、だけどっ」
 僕は瞳をぎゅっと閉じる。足を踏ん張って地の底から放出するように、思わず秘めていた思いをぶち撒けてしまう。
「だけどっ、レ、レフィーがっ、……僕のことを薄汚い雄だって……!」
「……レフィナさんのことね」
 レフィナのことは、出会って間もなくのころ話していたのだ。
 僕の憤りに反してコロンの声音は驚くほどに冷静なものだった。
「そう……だよ。僕の、パパで、ママで、それでいて……」
 それでいて。
 僕は何をいおうとしていたのだろう。
 一瞬いい淀んだ僕は、咄嗟に覚えたばかりの単語を口の端に上らせる。「……僕の、たった一人の、『家族』なんだ……。家族っていうか、キトゥンじゃないし血は繋がってないしニンゲンだけど……」
 後はもごもごと口ごもる。
 いつしか僕はコロンに心の内を探るように見上げられていた。そこに映る瞳の色に、僕はなぜかしっくりしないものを覚える。
 ……なぜだろうか。
「クルルー、それはたしかに家族っていわないわ」
「え……」
 轟々という、雲の流れる音が頭に直接流れ込んでくる。空気の流れが感じ取れるくらいに、突如僕の感覚が鋭敏になったようだった。
「家族は、そんなこといわないわ。わたしもパパもママも、……妹のコロネだって、大事な相手に、家族は、決してそんなこといわないわ……」
「……」
 諭すような口調に釈然としないものを感じる。
 なんだか間接的にレフィナを責められているみたいだ。
 僕が最も共感を望んでいた事柄であったのにも拘らず。
 ……。
 尻尾が反射的に左右に大きく振りかぶられてしまう。抑えようと思っても抑えきれるものじゃなかった。尻尾はキトゥンにとって、最も感情が表れやすい器官の一つでもあるのだ。
 ぶんぶん、ぶんぶん。
 あまりに激しく振りすぎて、空気を切る音が聞こえるほどだった。
「わたしが、あんたに本当の家族を教えてあげる……」

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 コロンが僕を抱き寄せる。何度も何度も交配を交わした身体が、今だけはひどく異質に感じられた。
 問題は何も解決していない。
 だけどうやむやになってしまった僕の感情を肩押しするように、こうして僕たちはコロンの家に向かうことになったのだった。


次の更新は10/20(木)を予定しております。
2016-10-13 : 小説・「千年相姦」 : コメント : 20 :
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『千年相姦』二章 『クルルー様の冒険譚』 第三夜 コロネ(3)

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謎の雄キトゥン・ニゲルから逃れるべくコロンの家にやってきたクルルーとコロン。
深夜の帰宅なだけに何かと気を揉むようです。
今回とうとうコロンの妹・コロネが登場しますが、コロンそっくりのコロネにクルル—は何を思うのでしょうか。
そしてコロンがそんなクルルーにしたある「お願い」とは。予想してみてくださいw
それでは、どうぞ。


【今回登場する登場人物】
      クルルー(11歳)  コロン(11〜2歳)  コロネ(11〜2歳)
                          ※一歳も違わないコロンの妹


二章 『クルルー様の冒険譚』 第三夜 コロネ(3)


「いい? 静かに入るのよ……」
「う、うん」
「ほらっ、しーっ」
「もごっ、ぐっ、ご、ごめんっ」
 コロンに乱暴に口を塞がれて、僕は思わず口ごもってしまう。
 コロンが「鍵」を鈴の中に戻した。そうか、いつも片時離さず身に付けていたと思っていたけれど、家の鍵を収納していたのか……。妙に感心した思いで僕は、その良く細工された開閉式の鈴を見つめる。
(※管理人注:コロンがチョーカーみたく首に付けてる鈴のことですねw)

「怒られないとは思うけど、詳しいことは明日わたしからパパに話してみるわ」
「パパに」
「それとママね」
「……」
 パパとママ。
 僕はコロンのいう「明日」に、この薄汚い姿を両親の前に晒されてしまうのか……。
 ニゲルに出会ってからというもの、僕の自己否定感には拍車がかかっている。それは元から備わっていたものではあったのだけれど、今は間違った方向に一周して文字通りひねくれた形をしたものになっている。
「ほら、この仔、わたしの妹なの」
「君がもう一匹いる……」

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 招き入れられた部屋の中程、健やかに眠るコロンによく似たキトゥンの姿があった。
「ふふ、性格は全然違うけどね」
 これが、血の繋がり……。
 静かな寝息は、数刻前に聞いたコロンの寝息と完全に一致するものだった。その容姿も。
 髪が少し、この仔のほうが短いかな。
 月明かりが幸いして、この仔の顔がよく見える。
 ……かわいい……。
「うふふ、かわいいでしょう?」
 心の内を見透かされたかのようだった。
 わたしの自慢の妹なのよ、といって、もう一対の寝台に招き寄せられる。
「なんだかうれしい。あんたと一緒にわたしの寝台で眠れるなんて」
 コロンが僕の胸元に頬を寄せてくる。
 コロンも妹に負けじととっても愛らしい。
 先ほどの違和感のことなんてすっかり忘れていた。(※管理人注:前回レフィナを巡ってコロンから暗にレフィナを非難されたことですね)
 ……ちょっと気が強いけど。でも、僕のような意志薄弱なキトゥンにとってはこのくらいがちょうどいい。
「ねえクルルー、前から思っていたんだけれど……」
「うん?」
〈千年森〉であの人と一緒に使っていた寝台よりもはるかにふかふかする。その感触に、急激に身体から力が抜けていく。
「あんたさえよければ、いつかコロネに──をしてほしいの」
「えっ……」
 だけど訊き返す前に、強烈な睡魔に襲われて僕はそれ以上会話を続けることができなかった。
 今日はいろいろなことがありすぎた。
 ニゲルの面影から逃れるように、僕は深い眠りに落ちていった。


次の更新は10/27(木)を予定しております。
2016-10-20 : 小説・「千年相姦」 : コメント : 29 :
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『千年相姦』二章 『クルルー様の冒険譚』 第三夜 コロネ(4)

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皆様前回のコロンの「お願い」に様々な推察をお寄せくださってありがとうございます。
大体皆様の予想で合ってます〜( ´∀`)bグッ!
さて、謎の雄キトゥン・ニゲルから逃れるべくコロンの家にやってきたクルルーとコロン。
一夜明けて、
惰眠を貪るクルルーを見守るイケメンズの姿があるようです。彼の正体は?
コロン一家総出の回、各キャラクターの立ち絵も合わせてお楽しみください。
それでは、どうぞ。

【今回登場する登場人物】
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クルルー(11歳)コロン(11〜2歳)コロネ(11〜2歳)
※一歳も違わない
コロンの妹


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コロンのパパコロンのママ


二章 『クルルー様の冒険譚』 第三夜 コロネ(4)


「やあやあ、見知らぬキトゥンがいる」
「う〜ん……」
 もう少し寝ていたいよ。
 僕は寝返りを打って無言の抵抗を示す。
「突いてみようか」
「ちょっと! パパったらやめてよ! クルルーは疲れているのよ」
「そうだ、よ……、僕は疲れているんだ……」
 だからもうちょっと寝かせておいて、と僕は掛布を引き寄せる。
「おお、こいつは大物になるに違いない」
 その後、ははっ、という笑い声が聞こえた。ニゲルみたく嫌味な感じの笑い方じゃなくて、草原の風のように爽やかな笑い声だ。
「おーい、クルルー、もうちょっと寝かせてあげたいのは山々なんだけれどね、ママが君と話をしたくて堪らないそうなんだ」
「うるさいなあ……、僕にママはいないんだってば……」
 しばしの沈黙の後「……訳ありのキトゥンなわけ?」「うん、この仔ちょっと変わってるのよ」「それはまあ、見ればわかるんだけど」
 ひそひそ、ひそひそ……。
 会話の内容がはっきり聞き取れる。
 それは僕が半覚醒の状態にあったからだ。
 つまり僕は惰眠をむさぼっていただけなのだった。コロンが心配してくれているように、疲れているっていうのもあったのだろうけれど、大半は僕の無精によるものだった。
 コロン……。
「はっ」
 コロンは、ニゲルはっ!
 ごほごほっ。大きく咳き込む。
「はい、水」
「あ、ありがとう」
 都合良く差し出された水を思い切り嚥下する。「助かったよ、コロ……」「誰がコロンだって、お寝坊さん」

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「…………」
 眩しいほどの金色の髪をした大人キトゥンが佇んでいた。その手には飲み干され空になったカップが握られている。
「うわああああああああっ、ごごごごごご、ごめんなさいっ、ご、ごめんなさい、す、すみませんっっ」
 僕にしては迅速な判断だったと思う。
 毛色の雰囲気から「彼」こそがコロンのいう「パパ」であると瞬時に察したのだから。
 なぜか僕は、目覚めと共に昨日の出来事含め、一気によみがえってきた有象無象を瞬時にまとめ上げることができていたのだった。
 それが今の、謝罪の嵐に繋がっているんだけれど。
「ははっ、君、面白いなあ。さあ、お腹減ったでしょ。朝食を食べよう」
 コロンより明るい色をした金色の髪のキトゥンが片目をつぶってみせる。
 コロンにはあまり似ていない。
 コロンとは種類の違う美貌のもち主だ。
 もちろんニゲルとも違う。
 ニゲルが怜悧な印象の美形だとしたら、コロンのパパは温雅な感じの美形だ。
 はあ……。
 内心でため息をつく。本当に〈千年森〉外周の森は美しい雄ばかりだ。もちろん、雌にしたって。
「あの、僕、……朝食頂いちゃっていいんですか」
 コロンのパパが一瞬目を見張った後、「何をいう。ママがもう朝から大張りきりで大変だったんだ。責任は取ってもらうよ」
 肩を思い切り叩かれる。「痛っ」
 コロンが横で笑っていた。
 僕はコロンのパパに促されて「家族」が集まる広間に招き入れられていった。
「おはよう、お寝坊さん」
「あ……」

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コロンのママ


 そこには「未来の」コロンがいた。
 これが、「ママ」、……。
 コロンを産んでくれた、血の繋がったコロンの実母。コロンととってもよく似ているけれど、コロンよりももっとなんていうか……。
「クルルー、ママはあげないよ」
 パパの言葉で我にかえった。
「わわっ、ちち、違いますっ。き、きれいなママだなって……、あれっ」
 これじゃまるで口説いているみたいじゃないか? だけどママは「まあ、ありがとう、素敵な素敵な黒トラさん」といって、僕の幼い対応に気を悪くするふうでもなく朗らかに笑ってくれたのだった。
「あなたの席はここよ」
 肩に手を添えられ、着席を促される。コロンのママの手はしっとりしていた。
 温かな食卓だった。
 明るい色味の木材を使った食卓だ。円卓になっているので上座も下座もない。席についたが最後、みんな平等に食事を囲むことができる……。
「わあ……」
 ママが運んできたのは、(多分だけど)焼きたてのパン。香ばしくて甘い、なんともいえない優しい匂いが漂ってくる。
 赤や黄色や緑が宝石みたいに配置されている。初めて見る食材ばかりで「宝石みたい」と表現することしかできなかった。一言でいうと目にも美しい食卓だったのだ。
 朝陽がさっと円卓の中央に射し込む。
 壁に穿たれた窓から射し込んできた光だった。その出窓式の窓には、かわいらしい花の姿があった。なんだか凝った形の小瓶にあしらわれている。
 壊れた木桶じゃない……。(※管理人注:お忘れかもしれませんが、養親レフィナは壊れた木桶に花を突っ込む感性の持ち主なんですねw)
 それは、僕が初めてコロンのママとレフィナを比較した瞬間だった。
 どっちのほうがいいって、そりゃ……。
 こと、と横合いに新たに皿を置かれる。スープだった。ママかな、と思ってお礼をいおうと頭をあげた矢先、「あ……君、コロネ……」「……!」

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コロンの妹・コロネ


 コロネはすぐに身を翻して僕の真向かい、つまり一番僕から遠い箇所に腰を落ち着け、それからずっとうつむいたきり顔を上げなくなってしまった。
 何か悪いことしちゃったかな。
「コロネは恥ずかしがり屋なの」
 コロンが耳元でそっと囁く。「だから、ね、昨夜のお願い、よろしくね」「え……」
「さあ、食べよう」
 コロンのパパのかけ声でみんな一斉に食事に取り掛かる。
「クルルーも遠慮なく召し上がってね」
 ママの眩しいほどの笑顔に一挙に緊張がほぐされる。「はい……!」
 僕は初めて「家族」と共に食卓を囲んだのだった。
 射し込む暖かな光、優しい談笑、僕はあの朝のことを一生忘れないだろう……。


次の更新は11/3(木)を予定しております。

2016-10-27 : 小説・「千年相姦」 : コメント : 23 :
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canaria

Author:canaria

イラストと小説でオリジナルの世界観を表現しています。上の画像はたらこさんがまたまた描いて下さったものです。今回はこちら方面から攻めてこられました。夢のコラボですね。ケイがとっても耽美で素敵です。瞳の色も設定の琥珀色を踏襲されてて感激しました。たらこさんいつもありがとうございます。初めましての方はこちらをどうぞ。

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