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『双卵少女』3章(2)


セイレンを巡る少女と少年の諍い、続きです。
弁の立つアルシュに追い込まれていたノアだったのですが、形勢逆転、どうやらノア特有の「勘の鋭さ」が功を奏したようです。
「お兄ちゃん先生に対するあてつけだ」
 相手の望むままに行動するセイレンの、唯一の瑕疵(かし)ともいえるこの行動は、一体何を意味するのでしょう。自我がない彼女にも、うっすらとした「心のようなもの」が形作られているということなのかもしれません。
アルシュも思うところがあったようです。
二人の諍いはどのような結末を迎えるのでしょうか。それでは、どうぞ。

『双卵少女』3章(2)


「……」
「……」
 あたしが絞りだしたその一つの答えは、二人の間に沈黙を敷いた。
 それは、今一生々しい感情が見えにくいセイレンの、心の奥底に沈む「闇」に抵触する言葉だった。
「でも、そのあてつけに、お兄ちゃん先生はまったく気づいてない」
「……あの人は、あれで本当は気づいているんじゃないの」
「え?」
 あたしは思わず目を見張った。
「……お兄さんは、……先生は、生身のセイレンを直視するのが怖いんだ」
「……」
 生身のセイレン。
 ヤりまくるセイレン。
 あのいつもへらへら笑っている歳若い先生が、アルシュがいうように意図的に「生身のセイレン」を見ることを避けているのだとしたら、……。
 その発想はあたしには及びもつかないものだった。
 こいつは、男同士だからこそ、曲がりなりにもその仮説に辿り着くことができたのだろうか。
 それが事実かどうかは別として。
 ……。
「でも僕は生身のセイレンを受け入れる。違う、生身のセイレンを見てみたい。つきあうって、そういうことでしょ」
160214_5.jpg
 どこか挑むようなアルシュの眼差しに、あたしは「引く」を通り越して完全に言葉を失ってしまった。
 こいつがここまで覚悟のようなものを持って交際を申し込んでいたとは思わなかった。
 リエルの話から連想される「彼氏像」とはまったく違う。
 重い。
 重すぎる。
 けど、それっくらい重い気持ちを相手に抱かせてしまう闇みたいなのが、セイレンにはある。
 それをうまく言葉で表現することができないのだ。
 アルシュがいう、お兄ちゃん先生が生身のセイレンを見るのが怖い云々も、もし「事実」だったのだとしたら、そのあたりに原因が潜んでいるのだろうか。お兄ちゃん先生の心の機微なんて、ある意味セイレン以上によくわからないけど。
 つきあうってこと。
 甦る、数日前のあのくそ女の言葉。
『で、彼氏の家から直接学校に来ちゃった』
 つい今しがたのこいつの言葉。
『でも僕は生身のセイレンを受け入れる。違う、生身のセイレンを見てみたい。つきあうって、そういうことでしょ』
 なぜそんなことが急に閃いたのか。
 まさしく、「直感」というやつだった。
「……てめー、セイレンと、……ヤ、ヤったの、か、よ……」
「……」
 アルシュが露骨に目を逸らした。
 その反応はあたしの怒りに火をつけた。
「て、て、……てめーは、てめーはキスだけじゃなくてセイレンに手ぇまで出したのかよっ! セイレンは、あ、あたしの」
 あたしの、あたしだけのものだったんだぞ!
 こいつは、早速あたしのセイレンに手を出したのだ。
 セイレンは、こいつの前で、あたしが大嫌いな「男」の前で「女の子」の顔を見せたのだ。
 あたしが大嫌いな男の前で。
 セイレンは、セイレンは、……、その不安定さそのものがセイレンたる所以だったのに。
 その不安定を脅かす要因だ、こいつは。
 許せない。
 許せない。
 セイレンの不安定を不安定のまま受け入れられる人間はやっぱりあたししかいない。
 こいつにセイレンを任せていたら、セイレンがどんどん「女の子」になっていってしまう。
 セイレンは男の子だ。でも、同時に女の子でもあるから、決してあたしを脅かすことはない。
 男も、もしかすると女も嫌いなあたしに残されていた、唯一の世界との架け橋だったかもしれないのに。
「てめーは、てめーは……」
 あたしは息を溜めて、一気にいい放った。「結局は街でセイレンとヤりまくってる男どもと一緒だ!」
「──!」
 アルシュの顔にあからさまに走った戦慄に、あたしは勝利を確信した。
 起死回生、というやつだ。
 それで今は充分だった。
 セイレン、待ってて。
 待っててね。
 今、あたしが行ってあげる。
 あんたが犬奴隷だってことをあたしが今すぐ思いださせてあげる。
 女の子にならないで。
 あんたが完全な女の子になったら、あたしは誰にも甘えられなくなる……。

2016-04-02 : 小説・「双卵少女」(番外編) : コメント : 14 :
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『双卵少女』3章(3)


アルシュとの激しい衝突の後、衝動のまま『秘密のお城』に駆け込んだノア。
そこにはセイレンの姿がありました。
ノアの強い「衝動」にセイレン特有の「相手の望むままに振る舞う」という性質が反応したが故のことなのですが、ノアにそれを知る由もありません。
しかし同時に、セイレンが珍しく「自己主張」をしています。
これもセイレンのなけなしの「心」なのかもしれません。
やがて、諍いは思わぬ方向に収束していくことになります。
それでは、どうぞ。

『双卵少女』3章(3)


「あっ……」
「ノア」
『秘密のお城』の入り口をめくると、そこには追い求めていた犬奴隷の姿があった。主不在にも拘らず、律儀に「犬の姿勢」を取っているのが奇妙に滑稽だった。
「ノアが来てくれるんじゃないかって、ずっと思ってた」
「……っ」
 まさにあたしの心境と呼応するような「そのまま」の言葉に、あたしは思わず犬奴隷の胸に飛びかかっていった。間髪入れず、胸を殴打する。
 セイレンの薄い胸に、あたしの拳の雨は、如何にも痛々しげだった。
 けれど犬はそんなあたしの暴挙すらも許容し、受け止めてくれる。アルシュとのやりとりでぼろぼろに傷ついたあたしの心を。
「あ、あんた、あんた、……アルシュとつきあってるって、ほんと、本当なの……」
 あたしは出し抜けに尋ねた。
「うん。この前、告白された。つきあうって意味、俺にはよくわからないけど」
「……」
 けれどセイレンはあたしの血を吐きだすような問いかけにも、あっさりと事実を「肯定」するだけだった。
「……アルシュはあんたが、誰とでもヤりまくるのを止めたかったのよ」
「うん、それはいってた。だから守ってる。アルシュ以外の人とはセックスしないって」
「──」
 あまりにむき身の、そのまんまの言葉に、あたしは絶句する。
 セイレンに抱き竦められている自分、というものをなぜか強烈に意識させられてしまった。
「離さないよ」
「……セイレ、ン」
 もがくあたしに有無をいわさぬ口調でセイレンがいう。
「いったでしょ。俺、すごい我慢してるんだよ……? これくらい、許してよ」
 セイレンの吐息が耳元にかかった。その奇妙な掻痒感にあたしは思いきり首を左右に振った。
「な、何、何よっ、我慢してるって何よっ! ア、アルシュと、アルシュとヤりまくってるくせにっ……!」
「我慢」する余地なんてないほど、アルシュとヤりまくってるくせに!
「アルシュとは一回しかしてないよ」
 そんなことは聞きたくない!
「回数とかそんなことはどうでもいいのっ。アルシュあいつ、許さない、……女の子に手ぇ出して、しかもつきあってちょっとしか経ってないっていうのに……」「誘ったのは俺のほうからだよ」
「……な……に?」
 耳を疑う。
 自分から、アルシュに?
 ヤって……って?
「だってアルシュが、僕以外の人と身体を繋がないで、っていうから」
 茫然自失とするあたしを尻目にこいつはいけしゃあしゃあといってのける。
「だから、アルシュにセックスしてもらった。他の人とできないぶん、埋め合わせ、的なことも、しなきゃ、だったし、……」
『セックスしてもらった』といういいかたも理解できなければ、『他の人とできないぶん』という文脈も、『埋め合わせ』という言葉も、あたしには理解できなかった。
 その言葉から垣間見えた、セイレンの「飢え」の正体も。
 何も、何もかも。
「……、そ、それで、あんたは、埋め合わせだか何だか知らないけど、それに便乗して、アルシュを誘ったわけ、……じ、自分から、軽々しく、……」
 セイレンがさも困ったというふうに首を傾げた。
「……軽々しく、っていうか、……そうでもしないと、セックスにありつけないんだよ、俺の場合、……」
 問いたげな気配を感じ取ったのだろう、セイレンが言葉を続けた。
「普通の女の子たちは、可愛いし、綺麗だから、軽々しく、とか、自分の身体を大事に、とか、胸を張っていう権利があるんだと思うだけど……」
 俺の場合は、さ……。
 セイレンが言葉を濁した。
 暗に自分を卑下しているのだろう。
 だけど、卑屈な内容の割に今いち真剣味が感じられない。まるで他人事みたいに、自分のことを語っているのだ。
 あたしとこいつとで、「ヤる」ということに対しての感覚が大きく掛け離れているのは間違いないようだった。
「あんただって女の子じゃない! 女の子は皆、女の子よ! それでいいじゃない。自分の身体は、いつだって自分だけのものっ! だから、大事にしなきゃいけないんじゃない……!」
「うーん……」
 セイレンが釈然としない、といった様子で首を傾げる。
「何ていえばいいかわかんないんだけど……」
160214_7.jpg
 セイレンが言葉を選ぶように、たどたどしく言葉を紡ぐ。
「あのね、俺もうまくいえないんだけど、俺からしたら、別に自分の身体をないがしろにしてるわけでも、軽々しい行動を取っているわけでもないんだよ。喉が乾いたら、水が欲しいなって、思うでしょ。そんな時、じゃあこの水以外は飲まないでっていわれたら、息苦しくなるでしょ。でも、じゃあその分、この水だけはいつでもあげるから、そのかわり他の水は飲まないでって、そういう……」
 あれ。自分でも何をいってるのかわかんなくなっちゃったよ。
 セイレンが助けを求めるように視線を投げ掛ける。
 脈絡のない台詞の真意を問いたいのはこちらのほうだ。
 けど、あたしは何となくセイレンがいわんとしていることが理解できるような気がした。
 何となく。
 何となくだけど。
 でも、そのことで「自分の身体は大事にしなきゃいけない」というあたしの主張が覆されるわけではない。
 ……セイレンをそこまで惹き付ける、いや、執着させる、か……、「ヤる」って行為は、そんなにセイレンの貞操観念、いや「倫理の根幹」を麻痺させるものなのだろうか。
 あたしには、どうしてもその一点だけがわからなかった。
「……ねえ、ヤる、って、あんたにとって、何……」
 あたしは、上目遣いで尋ねた。「答えなさい?」
 セイレンの瞳を捉える。セイレンはしばし、あたしを見つめ返してから、それからふいに笑った。
「知りたいんだ、ノアは」
 はぐらかされた。
 と思った。
 どこか、悪戯っぽい、あたしをからかうような口調だったけれど、その口調とは裏腹に、セイレンの瞳の中心には悲しげな光が浮かんでいた。
『セックス』だの、『埋め合わせ』だの、そういった擦(す)れた言葉を吐く人間には似つかわしくない、深くて底の見えない悲しみがそこには埋まっているような気がしたから。
「……知りたいわよ。そりゃ、あんたをそこまで『執着』させるのは何なのか、くらい……」
「……」
 あたしの伝えんとしていることをセイレンは察したのだろう、今度はふざけなかった。沈黙で返すばかりだ。あたしはその沈黙に便乗するように一気にいい放った。
「だからあんたっ、アルシュともヤるんなら、あ、あたしともヤりなさい!」
 瞬間、『秘密のお城』からすべての音が掻き消えた。
「本当にいいの」
 セイレンの瞳が月みたいに引き絞られた。
 紅い瞳があたしを射抜く。
 その男っぽさに、あたしの中心がぞく、と疼いた。
 ああ、まただ。
 セイレンが思いもがけず突如立ち上らせる、この独特の空気に、あたしの身体はいつも不可思議な反応を示す。
 甘酸っぱい痺れが、身体の芯から全身に伝わっていく。
「もう、我慢しないから」
 セイレンが皮を剥ぐようにあたしの衣服を取り払っていった。
 犬奴隷の前に、あたしの生まれたままの姿が晒される……。

2016-04-09 : 小説・「双卵少女」(番外編) : コメント : 20 :
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『双卵少女』4章(1)


【追記】
皆様のお住まいの地域は大丈夫でしたか? 管理人の親戚の多くは九州に在住しているのですが聞く所によるといまだ余震が続いているようで大変なようです。
皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
不謹慎かとも思ったのですが管理人があたふたしてても仕方ないので、いつも通り更新して微力ながら募金などで力になりたいと思います。
R18展開ということもあり、以下追記にしまってます。
それでは、どうぞ。


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2016-04-16 : 小説・「双卵少女」(番外編) : コメント : 14 :
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【お知らせ】webアンソロジー季刊誌「carat!」vol.2 夏号 募集のお知らせ


【お知らせ】
webアンソロジー季刊誌
「carat!」vol.2 夏号
募集のお知らせ

というわけで、発行日約二ヶ月前ということで「carat!」vol.2 夏号募集のお知らせです。
その前に、一つだけ変更点を。

小説作品は五千字までとさせていただきます。
すみません!
お寄せいただいた作品には丁寧に目を通したい所存でおりまして、そのあたりの兼ね合いから字数制限を設けさせていただく運びとなりました。ご了承ください。
以下、募集内容です。

webアンソロジー季刊誌「carat!」
vol.2 夏号 募集要項

【締 切】6月10日(金)
【発行日】6月22日(水)


【対象】

FC2ブログ及び他ブログやHPなど、創作サイトをお持ちの方対象ですが、必ずしも創作サイトである必要はございません。(例えば、動物ブログ、お料理ブログ、ROM専の方のご参加も大歓迎!)
「carat!」の活動にご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

【参加要項】
オリジナルの作品であれば何でも構いません。

■小説・詩・短歌(五千字程度)
■漫画・イラスト
■音楽・動画
■普通の記事(創作に関することでなくても大丈夫です。動物自慢・自作お料理のお写真・評論・日記等)

書き下ろしである必要はございません。
過去記事や連載作品でのご参加も大歓迎です!

参加ご希望の方は、

①ご自分のブログもしくはHPに、いつも通りに作品をupして下さい。
その際、「carat!」参加であることを特に記載頂く必要はございません。
必要でしたらこのバナーをお使いください。

②作品をご自分のサイトにupされましたら、以下の内容をこの記事のコメント欄にお寄せください。

■作品のタイトル/サイト名/H.N/作品のURL/「carat!」参加希望!
↑(これをコピペして使ったらいいと思うよ!)


例えば、管理人でしたら

■侵蝕恋愛/Fleurage(窓口)/canaria/http://lunefleurage.blog.fc2.com/blog-entry-7.html/「carat!」参加希望!

という風に。

締切は2016年6月10日(金)。
発行日は2016年6月22日(水)。
お寄せ頂いた作品のURLを、このブログの記事内に貼らせて頂く形で発行となります。
皆様ふるってのご参加をお待ち申し上げております。
それでは、よろしくお願い致します!


↓以下細かな事項について↓

【閲覧制限について】
未成年の方が参加されることも考慮しまして、「露骨に成人指定である」と一目で分かるような作品でのご参加はお控えください。
(リアルなタッチのもろ性器のイラストとか。小説や漫画等、お話の中で「匂わせる」程度でしたらOKなんじゃないかと思います。基準が今いち分からない方は管理人までご一報ください。一緒に考えましょう。←)

【著作権について】
言うまでもないですが、著作権は各作者様に帰属致します!

【「carat!」の由来】
ダイヤモンドの一カラット二カラットとかのあれから着想を得ました。

皆様の溢れ出る個性=ダイヤモンドの一面
ダイヤモンド=皆様の個性の集合体

一つの宝石を象っているけれど、決して変に迎合することなくそれぞれが強烈な光(カラット)を放っている。

みたいな意味です。
正確には多分意味間違ってるけど、イメージとしてはそんな感じです。

【その他】
webアンソロジー季刊誌ということで、発表形態はもちろんweb。
季刊誌なので、春夏秋冬の年四回発行。
3月、6月、9月、12月のそれぞれ20日前後の発行を予定しております。
ご自分の作品発表の場として、また相互交流の場として、皆様それぞれの創作スタイルに応じて「carat!」をご活用ください。

2016-04-21 : web季刊誌「carat!」 : コメント : 20 :
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『双卵少女』4章(2)


ピンク展開の続きですが、一番表現したかったのが詰まっているのが今回の回です。
父親から受け続けてきた暴力のせいで、彼女は自分の心を守るため「独自の価値観」を形成せざるを得ませんでした。
『わたしがいなければこの人(お父さん)はだめになる』といったような共依存的な思考回路です。
ノアは父親を責めたくなかったのですね。愛を期待していたのです。
でも迫り来る暴力からは何とかして身を守らなければならない。
「抵抗する」という選択肢は、正常な状態だからこそ選び取ることができるのではないでしょうか。
無力感に襲われた人間は驚くほどに脆く、容易に思考停止を招いてしまうのではないのでしょうか。
性行為によって導かれた普段とは違う境地の中で、ノアの現在と過去が強力に接続してしまったようです。
それでは、どうぞ。

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2016-04-23 : 小説・「双卵少女」(番外編) : コメント : 12 :
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たらこさんに四コマもらったよ!

見てみて!
めざせ!脱サラ漫画家のたらこさんにこんな素敵な四コマもらったよ!
相互リンクのプレゼントということです!
やった! セイレンもノアもめちゃくちゃかわいい!(≧∇≦)
本編よりもさらに進化している二人が素敵ですね〜(´∀`)

殺し屋デスさんは優秀(なはず……)なプロの殺し屋なんですけれど、押しに弱かったりお金に弱かったり幼女に弱かったりしていつも任務に失敗しているんです! 今回はおそれ多くもノアにもってかれたみたいです。ノア、はやりのハート目してます。最近こういう表現はやってるんですよね(笑)
たらこさん、すごく時間かかったでしょう? 大事にします!
本当にありがとうございます!


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たらこさん、アルシュの性格をよくわかっていらっしゃる(笑)






お礼絵。
勝手に描いちゃった……すみません!
プロフ絵のちびキャラかわいいっていってくださったのでジロー君で描いてみました。
たらこさんよかったらもらってやってください。





160427_5.jpg
合体ver






160427_6.jpg
ロゴだけver
(真ん中のはチャッピーのつもりです……す、すみません……)
どこのスタバですか





160427_7.jpg
キャラだけver

2016-04-28 : 頂きもの : コメント : 10 :
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『双卵少女』4章(3)〜エピローグ


『双卵少女』ラストです。
何だか問題がうやむやになってしまったまま「仲直り」してしまった二人のようですが、本当の修羅場はこれから訪れるのかもしれません。

基本的にこのお話は、本編ありきのお話なので、初見の皆様におかれましては「?」なところがたくさんあったかと思われます。
それにも拘らず、たくさんの方々にノアの心情を見守っていただきました。ありがとうございます。
最後の最後、もう一つ「?」なエピソードが挿入されていますが、このお話の本来の主役はこの人です。
14歳の頃のケイが「シビュ・ラ・ルーナ家の人間」として10歳のセイレンに宛てた手紙です。「シビュ・ラ・ルーナ家」は全面的に孤児院『太陽の家』を資金面でパックアップしているという設定です。

最後まで皆様のご厚意に甘えさえて頂く形になってしまってすみません。
それでは、どうぞ。



『双卵少女』4章(3)


「今日は、ここまでにしようね」
「え……」
 薄らぼんやりとした視界の先、セイレンの黒髪が映った。手入れのされていない、潮風を纏ったいつも通りのセイレンの髪だ。
 あたしはセイレンの腕の中で束の間の眠りについていたようだった。
 あたしはむくりと身を起こした。
 途端、下腹部に刺すような痛みを感じた。
「うっ……」
 空気に触れると一層痛みが鋭くなるようだった。
「ひりひりする……」
「……大丈夫……?」
 これが、ヤる、っていうこと?
 あたしは横たわったままのセイレンを見つめた。
 いつの間にかセイレンも全部衣服を脱ぎ払っていたものらしい。衣服が無造作に散らばっていた。
「……あんたも、初めてのとき、こんなだったの……?」
 セイレンは答えなかった。
 奇妙に大人っぽい微笑を浮かべて、それから首を傾げただけだった。
 そうしてセイレンはあたしに口づけの雨を降らした。
「ゆっくり慣らしていこうね」
1602212_11.jpg
 我が身のこととはいえ、自分の身体がどこまでセイレンを受け入れることができたのか定かではなかった。
 だけどセイレンの「熱」が暴発したような素振りは感じられなかった。
 それは、あたしの意識が途中で朦朧としちゃったことも関係しているんだろうけれど。
「……セイレン、あんたは、いいの……」
「ん? 俺はまあ……、えへへ」
 やっぱりそうだ。
 こいつ自身は、おそらくちっとも「遣り遂げて」なかったのだ。
 よくよく注意してセイレンの脚の間を見てみると、微かに熱が首をもたげているのがそこから確認できた。
 あたしは何だか猛烈に恥ずかしくなってしまって、セイレンの胸に顔を埋めた。
 セイレンの薄い胸から、トクトクと確かな鼓動の音がした。

※※※

 セイレンの胸で丸まる。
 セイレンが背中を撫でる。
 けれどそこに、殻はない。
 セイレンは男じゃないから。
 セイレンは女じゃないから。
 セイレンは、あたしが恋した「性そのもの」だから。
 だから、自分を守る必要もないのだ。
 セイレンがほんの少しだけ与えてくれた痛み。
 その後にくれた、この、優しい時間。
 ああ、あたし、少しずつ、少しずつ、溶解していってるのかな。
 おとうさん、とのこと。
「ねえセイレン、今度はあんたのカタツムリの殻を見せてよね」
 セイレンが笑った。
『秘密のお城』の薄闇に、けれど未だセイレンの心だけが濃くて、見えない。

※※※


エピローグ ケイの手紙


 双つ花(ふたつはな)のセイレン

 先日は早速のご返信、どうもありがとう。家の者が庭が荒らされている、と騒いでいたけれど君のことなのかな。土が掘り返された跡があるって。如何にも君らしいなと思ったのだけれど、月光トカゲでも探していたのかな。直接邸宅に手紙を届けに来てくれていたんだね。わざわざどうもありがとう。
 本題。
 ドレスですが、気に入っていただけたようで何よりです。星の砂も、どうもありがとう。とても綺麗に着色されていますね。綺麗だ。

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 そう、君の先生は君のことを「向日葵(ひまわり)のような子ども」と思っていらっしゃるのですね。
 そうかな、僕の直感では、君はそういう印象から一番遠い気がするのだけれど。
 けれど人の印象などそのようなものなのかもしれませんね。見る人の数だけ世界は存在するということなのでしょう。
 君に受けた相談のことですが……、相談なのかな。
 文末にあった、あの一節……、院長先生の前だと女の子の気持ちでいっぱいになるってあった、あれのことだけど。
 答えてあげましょうか。
 それは君が恋をしているからですよ。
 君が、その先生に。
 女として、その人を見ていると。

160212_20.jpg

 男や女という区分は、果たして個人を構成する要素としてどれくらいの割合を占めているのでしょうね。
 最近、そういったことをよく考えます……。
 人が何かを思考するとき、何かを判断する時、そこには自らの「性」が必ず根っこに兆しているような気がします。かと思うと、まったく根差してなんかいない、と思うときすらある。
 なぜ僕がこういったことを子どもの君に教えているかというと……、僕もまた、答えが欲しいからなのです。
 僕もまた、ある人の前に立ったときだけ、「女の気持ち」になるからなんです。
 可笑しいでしょう、僕は双花(ふたつはな)でもなんでもないのに、女の気持ちになるなんて。女になったことすらないというのに。
 だけど思うのは、自分がもし女だったら、もっと楽に生きられたんじゃないかということ。もっと楽に身を委ねることができたんじゃないかということ。何に対して、かというと、僕が女の気持ちになる「その人」に対してです。僕は何を望んでいるのか。何をして欲しいのか。何に気づいて欲しいのか。
 一方で女性に惹かれるのもまた事実なんです。
 ああ、僕が前述した相手というのは男性なんですね。

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 男である僕が、その人と対峙した時だけ「女の気持ちになる」と。
 普通のことだと思っていたのだけれど、どうやらそれは僕だけだったようです。学友達の多くは、そのようには思わないみたいで。というよりもそういう発想自体に至らないようなんです。
 僕は惹かれる相手の性が男であろうが女であろうが構わない、というようなところがあるようなんです。もちろん、それだって、周りと比較して初めて「構わない」という対立事項が生まれるわけであって、僕にとってはごく自然な、普通のことだったんです。
 けれどこの「普通」は、おおっぴらにしては差し障りがあるようだ、ということも本能でわかる。
 だから、君が羨ましいな、と思います。
 院長先生に対して「女の子の気持ちになる」と素直にいえる、いうことが許される君の双つの性が……。
 それとも君もまた、僕には及びもつかない葛藤など抱えているのでしょうか、双花(ふたつはな)であるが故の。
 変な話ばかりしてしまいましたね。
 最近なんだか気持ちが不安定で、だから、書き留めておきたかっただけなのかもしれません。自分の気持ちを眺めるために。
 今度手紙を届けにきてくれるときは、この道をいくといいですよ。そうすれば庭を通過せずにすみます。簡単な図を付記しておきますので参考までに。

ケイ・ルーチェリエリアン・シビュ・ラ・ルーナ

1602212_14.jpg


『双卵少女』 了


……&To be continued 「侵蝕恋愛Ⅱ 蜜月」
2016-04-30 : 小説・「双卵少女」(番外編) : コメント : 14 :
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プロフィール

canaria

Author:canaria

イラストと小説でオリジナルの世界観を表現しています。時々COMITIAに出たりもします。初めましての方はこちらをどうぞ。
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『侵蝕恋愛Ⅰ紅き瞳の双花』
この世に居場所のない二人は、互いに何を求め、何を互いに見出したのか。
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『侵蝕恋愛Ⅱ蜜月』
ケイは路地裏で出逢った両性具有の少女の「片割れの性」に溺れ込むーー。
『侵蝕恋愛Ⅲ孤児院日誌』
ファーンは明け方の海で亡き母に瓜二つの少女セイレンに出会うーー。
『侵蝕恋愛Ⅳ恋人たちの契約』
一冊の手記がケイを過去へとからめ取るーー。
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